SAS社員としての誇りーミツバチ・森林・絶滅危惧種の保護や医療への貢献にAI/アナリティクスを活用

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SASの一つの顔は、アナリティクスで営利目的の意思決定を支援

筆者は、SAS社員として、20年以上に渡りアナリティクスおよびAIで企業・組織を支援してきました。

  • 金融機関における、リスク管理や債権回収の最適化
  • 通信業における、顧客LTV最大化、ネットワーク最適化やマーケティング活動の最適化
  • 製造業における、需要予測、在庫最適化、製造品質の向上や調達最適化
  • 流通・小売業における、需要予測やサプライチェーン最適化
  • 運輸業における、輸送最適化や料金最適化
  • ライフサイエンス・製薬企業における、業務の最適化
  • 官公庁における、市民サービス向上のための不正検知

など、様々な業種・業務においてアナリティクスの適用によるお客様のビジネス課題の解決に携わってきました。営利目的(ここでは市民サービスの向上も含めることにします)の企業・組織におけるアナリティクスの活用目的は主に以下の3つに集約されます。

  • 収益(売り上げ)の増大
  • コストの低減
  • リスク管理

アナリティクスは、いわゆる「データ分析」を手段とし、過去起きたことを把握して問題を定義し、次に将来を予測し、様々な選択肢の中から最適な予測に基づいて意思決定をしていくことになりますが、その過程の中で、起きてほしい事象を予測して促進したり、起きてほしくない事象を予測して防いだり、その予測のばらつきを管理したりということを行っていきます。

このような営利目的でのアナリティクスの活用はSASという会社が誕生した40年以上前から行われており、基本的な活用フレームワークは変わっていません。IT技術の進化によって、利用可能なデータの種類や大きさが、増えてきただけにすぎないと言えます。例えば、昨今のAIブームの代表格であるディープラーニングですが、ディープラーニングという処理方式の進化と、GPUという処理機械の進化によって、非構造化データをより良く構造化しているものであり、もちろんモデリング時のパラメータ推定値は何十億倍にはなっていますが、モデリングのための1データソースにすぎません。もう少しするとディープラーニングも使いやすくなり、他の手法同様、それを使いこなすあるいは手法を発展させることに時間を費やすフェーズから、(中身を気にせず)使いこなせてあたりまえの時代になるのではないでしょうか。

SASのもう一つの顔、そして、SAS社員としての誇り、Data for Goodへのアナリティクスの適用

前置きが長くなりましたが、SAS社員としてアナリティクスに携わってきた中で幸運だったのは、データの管理、統計解析、機械学習、AI技術と、それを生かすためのアプリケーション化、そのためのツール、学習方法や、ビジネス価値を創出するための方法論や無数の事例に日常的に囲まれていたことだと思います。それにより、それら手段や適用可能性そのものを学習したり模索することではなく、その先の「どんな価値創出を成すか?」「様々な問題がある中で優先順位の高い解くべき問題はなにか?」という観点に時間というリソースを費やすことができていることだと思います。そのような日常の仕事環境においては、アナリティクスの活用を営利目的だけではなく、非営利目的の社会課題の解決に役立てるというのは企業の社会的責任を果たす観点においても必然であり、Data for Goodの取り組みとしてSAS社がユニークに貢献できることであり、SAS社員として誇れるところだと考えています。

最終的に成果を左右するのは「データ」

そして、もう一つの真実に我々は常に直面します。クラウド・テクノロジー、機械学習、ディープラーニングなどの処理テクノロジーがどんなに進歩しようともアナリティクス/AIによって得られる成果を左右するのは「データ」です。どのようなデータから学習するかによって結果は決まってきます。

  • IoT技術で収集したセンサーデータは知りたい「モノ」の真実を表しているだろうか?
  • 学習データに付与されたラベル情報は正確だろうか?
  • 学習データは目的を達成するために必要な集合だろうか?
  • そのデータは顧客の心理や従業員の心理をどこまで忠実に表しているだろうか?

特に、Data for Goodのチャレンジはまさにそのデータ収集からスタートします。ほとんどの場合、データは目的に対して収集する必要があります。そして、下記の取り組みのうち2つはまさに、我々一人一人が参加できる、市民によるデータサイエンス活動として、AI/アナリティクスの心臓部分であるデータをクラウドソーシングによって作り上げるプロジェクトです。

Data for Good: 人間社会に大きな影響を及ぼすミツバチの社会をより良くする

概要はこちらのプレスリリース「SAS、高度なアナリティクスと機械学習を通じて健康なミツバチの個体数を増大(日本語)」をご参照ください。

ミツバチは、人間の食糧に直接用いられる植物種全体の75%近くに関して受粉を行っていますが、ミツバチのコロニーの数は減少しており、人類の食糧供給の壊滅的な損失につながる可能性があります。この取り組みでは、IoT, 機械学習, AI技術, ビジュアライゼーションなどSAS のテクノロジーを活用し、ミツバチの個体数の保全/保護する様々なプロジェクトを推進しています。この取り組みは以下の3つのプロジェクトから成り立っています。

  • ミツバチの群れの健康を非侵襲的に監視

SASのIoT部門の研究者は、SAS Event Stream ProcessingおよびSAS Viyaソフトウェアで提供されているデジタル信号処理ツールと機械学習アルゴリズムを用いて、ミツバチの巣箱の状態をリアルタイムで非侵襲的に追跡するために、生物音響監視システムを開発しています。このシステムによって養蜂家は、コロニーの失敗につながりかねない巣箱の問題を効果的に理解し、予測できるようになります。

関連ページ:5 ways to measure beehive health with hive-streaming data(英語、近日日本語抄訳予定)

関連SAS Global Forum論文:Noninvasive Beehive Monitoring through Acoustic Data Using SAS® Event Stream Processing and SAS® Viya®(英語)

  • 世界の花粉媒介者の個体数を視覚化

SASは「世界ミツバチの日」にあたって、アパラチア州立大学のCenter for Analytics Research and Education(CARE)と共同で設立されたイニシアティブであるWorld Bee Countのために、全世界で「カウントされた」ミツバチを精密に示すデータ視覚化を開始します。World Bee Countの目標は、憂慮すべきミツバチの減少の理由を理解する第一歩として、世界中の市民を関与させ、ミツバチの写真を撮ってもらうことにあります。

関連ブログ:アナリティクスでハチを数えて保護しよう!(日本語)

  • 機械学習を用いてミツバチの食料へのアクセスを最大化

ミツバチの個体数が減少している主な原因の1つは、単一栽培の増加によってミツバチが食料にアクセスできなくなることです。ミツバチは適切な食料源を見つけると、巣箱に戻り、「尻振りダンス」を通じて正確な場所を伝えます。この「尻振りダンス」を自動的に検出、解読、マッピングできるシステムを開発することで、養蜂家はミツバチが食料を得ている場所をより効果的に把握し、こうした場所への新しい巣箱の設置を検討して、強固なコロニーを維持できるようになります。

Beefuturesと提携した、現在進行中の実行中の尻振りダンスプロジェクト(英語)をご覧ください。

Data for Good: 熱帯雨林保護のための取り組み

  • アマゾンの森林が消失しかけています

アマゾンの森林は、5.5百万km²という広さを持ち、これはアメリカ大陸の約半分、ヨーロッパ大陸よりも大きなサイズです。この広大さが世界の植物や動物の多様性を保っており、毎年何十億トンもの二酸化炭素を吸収するという重要な役割を担っています。しかし今日、アマゾンの広大な領域が消失の危機に直面しています。毎月、800km²が破壊され、伐採、穀物の栽培や開発などのために森林が消されており、結果として水域、土壌、生物の多様性や気候の変化に影響を及ぼしています。

  • テクノロジーだけでは不可能なことを知ることで人が役立てる

森林破壊と誤解しがちな衛星画像の例(下記参照ブログから引用)

SASのAIプラットフォームによって既に熱帯雨林にて大きな被害を受けている何千もの衛星画像を解析し理解が進んでいます。しかし、AIだけではできないことがまだあります。AIが学習するために必要なデータの作成-その画像が森林破壊なのか自然の形状なのかーを人間が支援する必要がまだあるのです。SASは国際応用システム分析研究所(IIASA)とともに、クラウドソーシングで一般市民による画像解析のサポートを募り、その判断を学習する次世代人工知能(AI)を構築しています。これにより、地球環境についての理解を深めるために設計されたAIアルゴリズムを強化するのです。

今すぐ参加してみる⇒https://app.gatheriq.analytics/rainforest

参加するための説明ブログを読む:森林破壊とAIの出会い ―休校中のこどもたちでもできること―

Data for Good: 足跡を追跡し、絶滅危惧種を保護する、"一歩"ずつ

WildTrack は、動物の足跡のデジタル画像を解析することで、絶滅危惧種を識別し監視しています。SASのテクノロジーを活用し、WildTrackの研究者たちはAI(人工知能)技術と、クラウドソーシングで世界中から収集された足跡データを使用して、地球上の動物保護活動にどのように役に立てるかを探索しています。動物たちはどこに移動しているのか?どのくらいの数の動物がいなくなったか?AI(人工知能)技術はその先進的な学習アルゴリズムによって、より完全なストーリーを足跡から導き出せるようになると期待されます。

詳細な説明はこちら:https://www.sas.com/ja_jp/explore/analytics-in-action/impact/wildtrack.html

今日、WildTrackは、様々な絶滅危惧種-クロサイ、シロサイ、ベンガルトラ、アムールトラ、アメリカバク、ベアードバクやホッキョクグマーを監視しています。ディープ・ラーニングを活用すると、十分なデータさえ用意できれば、人間が行うようなタスクを実行するようにコンピューターをトレーニングすることできます。例えば、画像から動物の足跡を識別させ、先住民の追跡方法に近いやり方で動物たちの行動パターンを認識させることが可能です。アナリティクスによって、以前は得られなかった貴重な洞察をWildTrackにもたらします。

AI技術の一つであるディープラーニングによって画像データの識別がより人間のそれに近づきましたが、この取り組みにおいても、やはりデータの収集が不可欠であり、このようなクラウドソーシングによって支えられています。

Data for Good: 医療においても人間の取り組みをSASのAI技術で支援

SASは、Data for Goodの取り組みを、前述のような民間の社会課題解決を目的とする組織と協力するだけではなく、大学の研究を通して支援しています。

プレスリリース:東北大学、SASを活用した超音波画像の自動判別は、正確で低負担ながん診断の実現のために有用であることを報告

単なるAI/アナリティクスのソフトウェアやサービスを販売する以上の意味がそこにある

筆者は、企業の営利活動を支援することだけではなく、このような非営利目的の社会課題の解決の支援も含めて、SASの根源である「アナリティクス」(いまではAIと呼ばれることが多い)の力によって地球上の様々な課題の解決を支援するという形で、企業の社会的責任への貢献ができることが、SASで働くことの喜びとなっています。

 

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About Author

小林 泉

Senior Manager, Enterprise Analytics Platform Group, Customer Advisory Division

1999年SAS Institute Japan入社後、金融・通信・製造・小売・官公庁を中心に顧客分析やサプライチェーン最適化などのアナリティクス・プロジェクトにて、データウェアハウスやアナリティクス・プラットフォームの設計/構築からアナリティクスのコンサルティングを担当。その後、プリセールスとしてSASアナリティクス・ソリューションの提案、顧客のデータ・マネージメント課題解決への従事、最新技術を利用したビッグデータ活用やSAS on Hadoopビジネスの立ち上げ、普及活動に従事。 データのリアルタイム分析と、大規模分析基盤アーキテクチャ、機械学習についての豊富な知見、経験を持つ。 2016よりSAS Viyaの立ち上げを担当し、OSSの世界へ新しい価値を提供するビジネスを推進。 2020年の興味は、「現実世界のデジタライゼーションの限界と展望」

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