森林破壊とAIの出会い ―休校中のこどもたちでもできること―

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この記事はSAS Institute Japanが翻訳および編集したもので、もともとはLucy Kosturkoによって執筆されました。元記事はこちらです(英語)。

あなたは今まで、実際に現地に行かなくても熱帯雨林を助けることは出来ないかと考えたことはありますか?考えたことがないでしょうか。

でも今がチャンスです。地球をまもるための活動もバーチャルで実施することがでる時代です。私たちの熱帯雨林プロジェクトでは、人工知能(AI)について少しずつ学びながら熱帯雨林を保護する機会を、家で過ごしている児童・生徒の皆さんに提供します(もちろん、大人の方にもご協力いただけます!)。こちらがご自宅でもできる学習ステップガイドです。

このガイドは4つのステップに分かれています:
Step1: AIが人類のためにどのような役割を担うのか理解しよう
Step2: 熱帯雨林のためにどのようにAIを活用するか見てみよう
Step3: 画像の分類に力を貸してください
Step4: さらにAIを用いて解決できる他の問題を見つけよう

 

Step 1: AIが人類のためにどのような役割を担うのか理解しよう

私たちは、電気によって生み出された力やインターネットを通じて形成された世界全体の繋がりから、人類の歴史や人々の生活・労働上での技術の転換を知ることができます。AIはそれらの技術の最先端に過ぎません。いわゆるスマート家電から電気自動車まで、AIは私たちが考えていた働き方・運転の仕方・学習など多くのことを変化させてきました。

AIは人間と機械の長所をつなぎ合わせます。コンピュータの処理速度と高い継続性に人間の知性を組み合わせることで、それぞれだけでは実現できないものを作り上げることができます。AIを用いると、私たちは人間にとっては危険なこと(危険な環境の探索など)をコンピュータに実行させるようにトレーニングすることや、監視カメラの管理など人間が継続し続けることが難しい作業をコンピュータに任せることができます。これらは、ルールを設定することが容易な直感的な問題ではなく、未知で予測不可能な状況が溢れている問題です。プログラマーはコンピュータが必要とするルールを開発するのが困難なので、AIを使用して命令を開発します。

例として、複数選択と記述で答える質問がある学生の課題を採点するために開発されたコンピュータプログラムについて考えてみましょう。

複数選択式の質問には4つの選択肢がありますが、その中で正解は1つです。プログラマーは、その学生の回答が正解かどうかを評価する従来のコードを作成します。そのルールは簡単で、「Q:生徒の回答は正解と一致しますか」「A:はい、または、いいえ」です。

では、記述式の質問はどうでしょう?記述の正解は1つではありません。その記述が正しいかどうかを判断するルールも存在しないかもしれません。「記述は何文字以上必要か」「段落の数はいくつか」「必要な単語・用いてはならない単語はあるか」など、記述を適切に採点するためのルールを作成する方法はなく、そのルールは様々な判断と細かい評価が影響してきます。

この場合、プログラマーは従来のコードの代わりにAIを使用します。この問題を解決するために、プログラマーはまず評価の高い記述と低い記述のサンプルを集めます。そのサンプルは多い方が望ましいです。そのサンプルに機械学習アルゴリズムを用いて、コンピュータが優れた記述の基準を識別できるようにします。コンピュータにあらかじめ指示すべきルールはわかりませんが、そのルールが有効かどうかを判断することが出来ます。別のサンプルを用意して、先ほど作成したルールを適応したときに評価の高い記述と低い記述に分類されているかどうかを確認することで、ルールの基準をテストできます。

森林破壊など、世界規模の問題に取り組む際も同様の手法を適用することが出来るのです。

 

Step 2: 熱帯雨林のためにどのようにAIを活用するか見てみよう

SASはIIASAと提携し、AIの専門知識と科学システム分析を統合して、地球を見るための新しい「目」を作りました。この提携によって、惑星映像から森林破壊の領域を自動的に検出できるようになります。コンピュータは何百万もの衛星画像を調べることにより、森林破壊の影響を受けた熱帯雨林の範囲を科学者に警告します。これにより、400万㎢を超える熱帯雨林を短期間で調査し、衛星画像が更新されるたびに調査を繰り返すことが出来ます。

ファン・ヤースフェルト氏は次のように述べています。“画像解析技術は森林破壊の正確な範囲と予測のための最初の重要なステップであるため、テクノロジーでは見分けることができない世界中の進行中の森林被害の衛星画像を、みなさんに調べて報告いただくお願いをしています。クラウドソーシングはAIのアルゴリズム改善に役立ち、分析にかかる時間を削減し、重要な政策の変更を推進して森林をより迅速に保護するのに役立ちます。”

今日まで、AIのアルゴリズムはしっかりと機能しています。上の図のように、大規模で明らかに緑のない地域を森林破壊として認知でき、完全に緑の地域は森林が保護されていると認知します。これは前述した複数選択式の採点に似ています。しかし、この操作は必ずしも単純ではありません。人間にとって人工的に作られた道路と自然由来の河川を見分けることは簡単である一方、AIがこの区別をするには人間の観察による十分なトレーニングがないと難しいでしょう。

これを達成するために、私たちは皆さんのような方々に、上の図のような何千もの見分けがつきにくい画像に対して、森林破壊のがあるかどうかのチェックをしてほしいと考えています。その人間の影響の痕跡に印をつけてもらえれば、AIはより賢くなります。そこで、皆さんの出番です。

 

Step 3: 画像の分類に手を貸してください

SASは、世界中の人々が衛星画像をチェックをすることでアマゾンの熱帯雨林を保護できるアプリを作成しました。何千人もの人々が数枚の画像を仕分けているので、1人に負担をかけることなく、素早くチェックができます。

あなたは何枚の画像にチェックを付けてくれますか? やってみましょう

 

Step 4: さらにAIを用いて解決できる他の問題を見つけよう

AIを通じて世界の問題を解決することに興味を持っていただけたでしょうか。そう思っていただけた方に、AI4Allでは多くの教材を用意しています。AIを活用した問題解決やそれを実現する人々についての無料のオンラインコースなど、是非一度ご覧になってください。

そして最後に、熱帯雨林の衛星画像は日々更新されて増えているので、ときどきアクセスしてみてください。

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