見習いデータサイエンティストが思うキャリアの選び方 【アナリティクスを活用するキャリア: SAS Japan】

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アカデミア向けにアナリティクス・データサイエンスのキャリアを紹介するイベント「SAS アナリティクス・キャリアシンポジウム」において、SAS Institute Japan 株式会社 コンサルティングサービス統括本部のクラウス 舞恵瑠 氏が講演しました。本イベントは、「データサイエンティストになりたい」と考える学生が業務内容やキャリアをイメージできるようになることを目指し、2021年12月22日(水)に開催されました。前回の記事はこちら

SAS Japan
クラウス 舞恵瑠 氏

「大学院のときに学会に参加し、『もっと数学をやりたい』と気づいたときには、すでに就活が終わっていました…」と振り返るクラウス氏は、大学院ではオペレーションズ・リサーチを専攻していました。「やりたいことが分からないから」という理由でコンサルティングファームに就職し、システムの導入支援の業務につきましたが、在学中に参加した学会で芽生えた「数理的な手法で問題解決をしてみたい」という思いが強くなり、SAS Japanへの転職を決意します。

クラウス氏がSASで携わっている直近のプロジェクトのテーマは、「不良債権回収業務の回収益向上」というものです。通常、債務の返済を督促するときは電話をかけますが、人によっては訴訟に発展してしまう可能性もあります。そこで、返済状況や債務者のタイプによって督促の方法を変更したり、場合によっては債務を減額する提案をするほうが長期的には回収額が向上する場合があったりします。どのような督促・回収方法を取るのがよいのか、回収担当者の意思決定を支援するために、強化学習や最適化手法といったデータ分析を活用します。

「一般的なプロジェクトには業務フローがありますが、それぞれのフェーズにおいて必要となるスキルや知識は異なります」とクラウス氏は言います。プロジェクトのフェーズは①現状分析/効果検証、②要件定義、③設計/開発/テスト、④導入支援、⑤本番稼働、の5つに分けられます。それぞれのフェーズにおいて、①分析とドメイン知識、②コミュニケーション、③エンジニアリング、④コミュニケーション、⑤エンジニアリングのスキルが重要になります。

分析スキルのベースには線形代数、微分、統計などの数学的な力があり、それを活用するためにSASやPythonなどのツールやプログラミングのスキルがあります。業界やクライアントの業務に関する知識であるドメイン知識は、クラウス氏によると「非常に重要なもの」ですが、一方で「学生の間に身につけることは難しい」ものです。コミュニケーション・スキルは、クライアントの課題を明確にするためにヒアリングを実施し、また、プランや結果をクライアントにフィードバックするための資料を作成し、わかりやすく説明するためのスキルです。エンジニアリング・スキルは、参画するプロジェクトにもよりますが、GithubやSQLなどのテクノロジーを扱う技術が求められる傾向にあります。このうち、分析スキルは大学の授業などを通して、コミュニケーション・スキルはゼミなどを通して学生のうちに身につけることができそうです。

「これらのスキルをすべて伸ばしていくことはもちろん望ましいですが、私の現在の課題としては、より高度な分析スキルを身につけることです。そのためには、独学、勉強会、YouTubeなどさまざまな勉強法がありますが、一番大切なのは実務経験だと考えています」とクラウス氏は述べます。「学生にとっては実務経験を得ることは難しいですが、就職したあとに積極的に実務に携わり、経験を通してスキルを向上させていく意欲が大切です」と学生にエールを送りました。

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About Author

Naohiro Takemura (竹村 尚大)

カスタマーアドバイザリー本部 公共ソリューショングループ シニアビジネスデベロップメントスペシャリスト

認知神経科学の研究者として大学・研究機関での勤務を経て、SAS Japan に入社。大学等での研究・教育におけるSASの活用支援を推進しています。

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