社会課題の解決に向けて一緒に考えてみよう~GatherIQの魅力~(第二回)

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前回の記事で、Data for GoodのためにSASが提供するアプリ GatherIQをご紹介し、そのトピックの一つとして「教育」について取り上げました。今回は、「男女平等」と「健康」の2つのテーマについてGatherIQの提供するデータを基に取り上げてみたいと思います。

“男女平等”

皆さんは性別による格差を感じることはあるでしょうか。日本ではしばしば女性が男性と不平等に扱われていることで問題となりますが、それもここ数年でだいぶ変化してきたと私は感じております。今でも女性が差別に対し立ち上がることは難しくはありますが、以前であれば声を上げることですら不可能であったように思われます。日本、そして世界の性別によるギャップはどのような事態に置かれているのでしょうか。

日本と世界の違い

GatherIQによると、性別におけるギャップの少ない国では、日本は世界的に見て111位であり、東南アジア及び太平洋周辺では下から4番目の順位です。これは、中国が99位、フィリピンが7位であることを踏まえると、日本は性別に関して非常に平等性が低いことは明らかです。

一方、性別におけるギャップがない国で上位に位置しているのはアイスランド、ノルウェー、フィンランドなどの北欧の国々でした。

しかし世界経済フォーラムは、未だ尚、世界のどの国も性格差のない平等な国とは言えないと述べます。

こちらのリンク先では、地域や指標を指定することで様々な順位分けを示してくれます。GatherIQではこのように、皆さんがデータや表のインタラクティブな操作が可能です。

データで見る「格差」

性別における格差は女性差別に関するものが主なようです。その分野は、教育、雇用、肩書き、暴力など、多岐にわたります。

雇用や肩書きでは、主要な役職や収入などの点で女性が男性に比べ平等に扱われていないと述べられています。

2017年における女性の平均収入は男性のおよそ半分である。CEOを務めるJohnという名の男性の数よりもCEOを務める女性の数は少ない。

暴力の点では性別における格差は更に深刻です。女性の内35%が虐待にあった経験があり、この中身としては、結婚を強制される、暴行を受けるという内容から人身売買という内容まで、多様です。

また、教育の現場においては家庭事情や学校での出来事により女性が教育を受けられない場合が多いようです。家の家事をしなければならない、学校でセクシュアルハラスメントを受けてから怖くて行けなくなった、などの理由が述べられていました。

平等による利益

では、男女平等であることによるメリットは何でしょうか。女性が平等に生きられる。これは確かに重要なことです。しかし、男女平等により得られる利益は女性だけに限ったものではないとGatherIQでは記載されています。男女平等に努める国は、武力に訴える傾向が低く、平和を維持しやすいようです。この傾向は、GDPの高い国や民主主義の国よりも高いと述べられています。また、こうした格差の少ない国では子供の人生における満足度や幸福度が非常に高く、そのため、男女平等である国は暴力による死者も少数です。

格差を生まないためにどう行動すればよいのだろうか?

では、格差を少なくするにはどのようにすればよいのでしょうか。GatherIQには解決の糸口の一つが示されています。

“Boys and young men need to be educated and encouraged to be agents of change--to fight for the girls in their communities and prevent violence.”

「若い男性が主体的に変化を起こすことができるように教育し、勇気付けることが必要である。―彼らがコミュニティの中で女性のために戦い、暴力を防げるようになるために。」

私たちができることは、これからの世代に、今までの歴史や努力を伝えること、そして人類の発展のために男女平等が重要であると教えていくことではないか、と感じます。

“健康”

2つ目のテーマとして、健康についてお話をします。長く生きていくために、健康は不可欠な要素でしょう。GatherIQによると、健康の指標となりうる平均寿命の長い国では、健康な人が貢献することでより発展しやすいと言われています

目まぐるしく変化する現代において、人の平均寿命は延び続けています。USAの平均寿命は79歳と、世界の平均寿命の72歳よりも7年長くなっています。

Max Roser (2019) - "Life Expectancy". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/life-expectancy' [Online Resource]

平均寿命は多くの国で70歳を超えており、日本を含む一部の国では80~85歳まで平均寿命が延びているところも存在する。

平均寿命が延び続ける反面、未だに多くの資金を予防可能な疾病の治療に注ぎ込み続けていることも事実です。

多くの病と課題

技術の発展を持ってしても、根絶できない疾病は未だ数多く存在します。

世界三大感染症であるマラリア・結核・エイズによる死者は、減りつつはあるものの、今日も多くの人々の命を奪い続けています。

これらは予防接種と清潔な水の使用で劇的に感染を減らすことができますが、根絶しきれない背景には、死者を出し続けている国が上記の予防方法を実践できるほど発展しきれていないという事実があるのではないか、と感じられます。

また、世界的に問題となっている疾病に慢性疾患がしばしば取り上げられます。慢性疾患は、ガンや心血管疾患、呼吸器疾患や糖尿病などの総称であり、これによる死者は年間3200万人です。これは世界中の全死亡者のうち71%を占めており、非常に多くの死者を出していることがこのデータにより示されています。

喫煙、アルコール、偏った食事、運動不足が主な危険因子となり、慢性疾患を引き起こすと述べられており、日々の習慣が重要であることが示唆されています。次に、喫煙について少し記述していきます。

喫煙のリスク

四つの危険因子のうち、喫煙は特に危険であるとGatherIQでは述べられています。煙草の煙には7000種類の化学物質が含まれており、そのうち少なくとも250種が有害であると判明しています。

非常に質の悪いことに、煙草は喫煙者だけの問題ではなく、非喫煙者にも有害です。世界規模で見て、毎年600,000人の人が副流煙により引き起こされた疾病で亡くなっています。このうちの3分の1は子供です。

私たちに何ができるか

以上のことを踏まえ、皆さんの中には「では健康のために何をするべきなのか?」と考える人もいるかもしれません。私は、GatherIQのデータを読むことで、健康でいるために必要なことは生活習慣の改善ではないかと思い当たりました。栄養バランスの整った食事、適度な運動、そして定期的な検診こそが、ガンや糖尿病に罹患しにくくなる方法であると感じます。また、喫煙による死者の3分の1が子供であることを考え、できるだけ子供を、煙草を吸っている人の近くに行かせないことや、家族間で子供の近くで煙草を吸わないこと、などが挙げられるでしょう。このような小さな気配りが、健康であるための一番大きな鍵なのかもしれません。

以上が第二回目のGatherIQの御紹介でした。GatherIQについて更に知りたいという方はこちらからアクセスください。また、SASのWebページブログではData for Goodに関する考察や情報も公開していますので、併せて御覧ください。

SAS JapanではStudent Data for Good communityを開催し、Data for Goodの達成を目指す学生の参加を募集しています。

興味をお持ちでしたらJPNStudentD4G@sas.comまでご連絡ください。

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東京理科大学 理工学部 応用生物科学科

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