昨年2016年のSAS Global Forumでも講演して好評だったEmma Warrillowという方が今年も講演されたので紹介します。まずは復習として、彼女が昨年披露した良いデータサイエンティストになるための5つの秘訣を見てみましょう。
- ビジネスを理解しなさい:アナリティクスの目的はビジネス課題を解決することである
- ストーリーを語りなさい:単に分かったことを共有するのではなく、分析結果に基いてビジネスをどうすべきかを議論しなさい
- 視覚的にストーリーを語りなさい:グラフや図を使用して、より理解を深めることを心がけること
- よい質問を繰り返しなさい:よりたくさん質問することで、より理解が深まる
- 新しい技術についていくこと:よりよい表現方法を常に模索すること
(2016 SAS Global Forum でのEmma Warrillowの講演より。proceedingはこちら)
「それで?あなたはどう思うの?」と返したくなるデータ分析や仕事の報告、「顧客の理解を深めるための労(繰り返しの問い)を惜しむ」ケースは、ビジネスシーンでよく見受けられますが、あなたの会社ではいかがでしょうか?15年前、あるお客様から、「顧客の顔が見えないのでデータマイニングでなんとかしたい」という相談を受けたのを今でも覚えています。データ自身は何も語ってくれません。事実に基いてストーリーを考え、適切な問いを繰り返すことで初めて洞察(自分たちの顧客に対する理解)が得られるのです。
『問いかけること』
が、とても大事です。
さて、この彼女が今年もプレゼンをし、少しリバイスした秘訣を披露してくれました。レベル感はあまりそろってませんが、どれも、忘れがちなことなので、今一度自分自身の気を引き締めるために取り上げることにしました。
①スプレッドシートを送付するだけという行為はNG
受け取った人は、無視するか、イライラするか、誤って解釈するだけです。概要、どのように見るべきか、結論は?相手にどうして欲しいのかを伝えることが必要不可欠です。
②POETを意識すること
StorylyticsのLaura Warren より
- Purpose(目的): このチャートの目的は…
- Observation(あなたの着眼点): 見て欲しいのは...
- Explanation(説明): 何を意味しているかというと…
- Take-away or Transition(要点): 次のステップは…
③アナリティクス・チームのブランディング
多くの企業・組織におけるアナリティクスチームは、PRの問題を抱えています。アナリティクスが真に有効で、またアナリストがちゃんとビジネスを理解していると認知されることが、とても重要です。
④御用聞きにならないこと
自分がある専門領域のエキスパートであることを自覚し、適切な問い、適切な提案をすることが大事です。
⑤正しく伝えること
ストーリーテリングで人を動かすために、Peter GruberのThe Four Truths of the Storytellerを参考にすると良い。
- Truth to the Teller: 自分自身が本当に「真実」と思っていることを語ること
- Truth to the Audience: 聞き手の視点や期待値を理解し、ストーリーをちゃんと理解してもらうこと
- Truth to the Moment: 聞き手(の立場)や状況(許された時間など)に応じてストーリーをカスタマイズすること
- Truth to the Mission: ビジネス上の価値を生み出すストーリーにすること
この4つのポイントをどう日本語で表現すればいいかと思い悩んだのですが、要は、受け売りではなくちゃんとした自分の意見として、相手の立場に立って、相手の思考プロセスに沿って、その場に価値を与えることを話しなさいと、いうことでしょうか。ビジネスパーソンにとって時間はとても貴重な経営資源です。今一度、自身のコミュニケーションの質を高めなければと思いました。
⑥より高みへ
ブルームの分類学(学習の段階を定義したもの)Bloom’s Taxonomy を示し、知識や理解だけではなく、それを活用して行動に移し/意思決定をし、結果を評価するところまでをビジネス上で実践することが重要であると説きました。つまり、アナリティクスそのものです。
彼女の論文は、こちら。
データサイエンスだけでなく、全般的なビジネススキルについて当てはまる話で、改めて、とても刺激を受けたセッションでした。