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エデュケーター&コンサルタント。統計学を体系的に学び、学位を取得した後、あれこれうん十年を産業界で実践と教育に携わってきました。統計人材の育成をミッションとし、政府のAI戦略にもリンクした「リテラシ教育」に日々取り組んでいます。

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春になると回帰分析を思いだす

春になった。桜の開花時期が気になるが、今年の開花(※)は平年より少し遅かったそう。気温が上がると通常よりも早く咲くことがあるそうだが今年はそうはいかなかった。 桜の開花は主に気温が関わっており、簡単に予想できる方法がある。400度の法則といい、2月1日以降の日々の平均気温を合計して400度を超えると開花する、という代物。600度の法則というものもある。こちらは、平均気温ではなく、最高気温を合計したものだ。 いずれの法則も桜の花芽は秋から冬にかけて「休眠」状態に入り、真冬の寒さで目覚める「休眠打破」を2月1日とし、1日以降の気温の積み上げたものである。この法則が今年は当たらず、公式な開花日は予想より1週間くらい遅れての3月29日だったがとくに700度を超えた時であった。暖冬の影響で休眠スイッチがうまく作動しなかったからという説がある。異常気温の影響もあるだろうし、まさに異常値だった。 実は、上記のシンプルな指標以外に、桜の開花予測には回帰分析というデータ分析の手法が利用されている。気温、降水量、日照量などの気象データで統計モデルを構築して開花日を予測する。この手法は、例えば、一般的にはマーケティングの販売促進やロイヤルティ向上、金融業界では信用取引のスコアリングや不正検出に、医薬業界では疾病リスクや治療効果予測などに広く利用されている。具体的な紹介は、ぜひとも別の機会にしたい。 機械学習やAIばかり注目を浴びている中、その基盤となるものは回帰分析のようなデータ分析の手法であることに忘れてはいけない。5~6月には回帰分析をテーマにしたトレーニングコースが多く開催されるが(SAS Training | スケジュール)、春になったし新たなチャレンジの始まりと、ぜひ受講して新しいスキルを身につけて頂きたいところ。 ところで桜は、実に種類が多く、日本だけでも600種以上が分布しており、色もよく見かける白やピンク色だけでなく緑色もあるそう。とりわけ、日本でよく見かける桜を時間軸でいうと、河津桜、染井吉野、枝垂れ桜、八重桜、冬桜といったところ。うちの近所でピンク色で輝いていたカワズザクラはとくに散ってしまい、染井吉野と八重桜が満開の日を迎えている。 ※桜の開花日とは、標本木で5~6輪以上の花が開いた最初の日をいい、観測対象は主に染井吉野を対象としている(気象庁 | 生物季節観測の情報)。 2024年4月初 相吉