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自然言語処理とSAS (3)

こんにちは!SAS Institute Japanの堀内です。今回も自然言語処理について紹介いたします。 前回の投稿では、実際にSASを使って日本語の文章を扱う自然言語処理の例を解説しました。 最終回の本投稿ではその応用編として、自然言語処理の代表的なタスクとSASによる実装方法を紹介します。なお、ここでいうタスクとは「定式化され一般に共有された課題」といった意味になります。自然言語処理には複数のタスクがあり、タスクごとに、共通する部分はあるとはいえ、問題解決のアプローチ方法は基本的に大きく異なります。SASには各タスクごとに専用のアクションセット1が容易されています。 要約タスク その名の通り文章を要約するタスクです。SASではtextSummarizeアクションセットで対応可能です。 ここでは、NHKのニュース解説記事「気になる頭痛・めまい 天気が影響?対処法は?」(https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/471220.html) の本文を5センテンスで要約してみましょう。 import swat conn = swat.CAS('mycashost.com', 5570, 'username', 'password') conn.builtins.loadActionSet(actionSet='textSummarization') conn.textSummarization.textSummarize(addEllipses=False, corpusSummaries=dict(name='corpusSummaries', compress=False, replace=True), documentSummaries=dict(name='documentSummaries', compress=False, replace=True), id='Id', numberOfSentences=5, table={'name':CFG.in_cas_table_name}, text='text', useTerms=True, language='JAPANESE') conn.table.fetch(table={'name': 'corpusSummaries'}) numberOfSentencesで要約文のセンテンス数を指定しています。結果は以下の通りです。 'まず体調の変化や天気、気温・湿度・気圧などの日記をつけ、本当に天気が影響しているのか、どういうときに不調になるのかパターンを把握すると役立ちます。 気温・湿度以外にも、気圧が、体調の悪化や、ときに病気の引き金になることもあります。 私たちの体は、いつも耳の奥にある内耳にあると言われている気圧センサーで、気圧の変化を調整しています。 ただ、天気の体への影響を研究している愛知医科大学佐藤客員教授にお話ししを伺ったところ、「台風最接近の前、つまり、気圧が大きく低下する前に、頭が痛いなど体調が悪くなる人は多い」ということです。 内耳が敏感な人は、わずかな気圧の変化で過剰に反応し、脳にその情報を伝えるので、脳がストレスを感じ、体のバランスを整える自律神経が乱れ、血管が収縮したり、筋肉が緊張するなどして、その結果、頭痛・めまいなどの体に様々な不調につながっているのです。' 重要なセンテンスが抽出されていることが分かります。   テキスト分類タスク 文章をいくつかのカテゴリに分類するタスクです。その内、文章の印象がポジティブなのかネガティブなのか分類するものをセンチメント分析と呼びます。ここでは日本語の有価証券報告書の文章をポジティブかネガティブか判定してみます。使用するデータセットは以下になります。 https://github.com/chakki-works/chABSA-dataset (なお、こちらのデータセットには文章ごとにポジティブかネガティブかを示す教師ラベルは元々付与されておりませんが、文章内の特定のフレーズごとに付与されているスコアを合算することで教師ラベルを合成しております。その結果、ポジティブ文章は1670文章、ネガティブ文章は1143文章、合計2813文章になりました。教師ラベルの合成方法詳細はこちらのブログをご覧ください。) pandasデータフレームにデータを格納した状態を確認してみましょう。 df = pd.read_csv(CFG.local_input_file_path) display(df)

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自然言語処理とSAS (2)

こんにちは!SAS Institute Japanの堀内です。今回も自然言語処理について紹介いたします。 第1回目の投稿では、最近の自然言語処理の応用例とSAS社が携わった自然言語処理関連の実案件の概要を紹介しました。 第2回目の本投稿では実際にSASを使って日本語の文章を扱う自然言語処理の例を解説していきます。 テキストデータって何? 自然言語処理を語る前に、自然言語処理が処理対象とするデータのことを知る必要があります。自然言語処理で扱われるデータはテキストデータと呼ばれています。ここからはテキストデータがどういうものか探っていきます。 テキストとは以下のようなものです。 「自然言語処理で扱われるデータはテキストデータと呼ばれています。本投稿ではテキストデータがどういうものか探っていきます。」 何の変哲もない日本語の文章です。日本語以外の言語で書かれた文章ももちろんテキストと呼ばれます。 ではテキストデータとは何でしょう?データと言うからには何らかの構造を持っていると考えます。例えば行と列が与えられたテーブルデータがわかりやすい例です。 テキストデータと呼ぶとき、テキストに何らかの構造を与えられたものを想起すると良いかと思います。上で挙げたサンプルのテキストをテキストデータに変換してみましょう。 ["自然言語処理で扱われるデータはテキストデータと呼ばれています。",  "本投稿ではテキストデータがどういうものか探っていきます。"] これは句読点でテキストを区切り、リストに格納した例です。やりかたは他にもあります、 [["自然言語処理",  "で", "扱われる", "データ", "は", "テキストデータ", "と", "呼ばれて", "います", "。"],  ["本投稿", "では", "テキストデータ", "が", "どういうもの", "か", "探って", "いきます", "。"]] これは先ほどの例で2つのテキストに区切ったうえで、それぞれのテキストを更に単語ごとに区切って別々のリストに格納した例になります。これをテーブルデータのように整えると、 ID COL1 COL2 COL3 COL4 COL5 COL6 COL7 COL8 COL9 COL10 1 自然言語処理 で 扱われる

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SAS Enterprise GuideのカスタムタスクでPythonコード実行

SAS Enterprise Guide(EG)で簡単にPythonなどオープンソース・コードを実行できる方法を紹介します。 1.オープンソースコード実行用タスク(OST)の概要 2.事前設定 3.EGでの使用方法 4.AMOでの使用方法   1.オープンソースコード実行用タスク(OST)の概要 SAS Enterprise Guide(EG)は直感的なユーザインタフェース上で、マウスの簡単操作で、透過的にデータにアクセスし、様々な分析用タスクを活用し、データの準備から加工・変換、集計・分析、レポート作成に至る一連の作業をグラフィカルなフロー図として描き、実行することができるツールです。 一方、多くの組織ではPython, Rなど様々なオープンソースのスキルを持つデータサイエンティストが混在することが多く、こうしたオープンソース(OS)とのコラボレーションも必要になってきています。従来、EGとPythonなどOSと連携する際には、データでのやりとりが必要でした。例えば、EGで作成したデータをエクスポートし、OSユーザに渡して処理してもらうか、その逆か、になります。 都度このようにデータをやりとりするには手間と時間がかかりますし、データやPythonコードなどの管理も課題となります。こうした課題を解決する手段の一つとして、カスタムタスクを活用することができます。 カスタムタスク:EGには、数多くのタスク(データ準備用タスク、分析用タスク、など)が実装されています。このタスクは顧客ニーズに応じてカスタムで作成し、活用することができるようになっています。SASのサポートサイトからカスタムタスクを作成するためのテンプレートをダウンロードし、使用することができるようになっています。カスタムタスクの作成方法の詳細に関しては、次回のブログでご紹介します。 オープンソースコード実行用タスク(OST):OSTはOpenSourceTaskの略で、EGカスタムタスクのテンプレートに基づいて開発されています。OSTを使用することで、EG上で簡単にPythonコードを実行することができ、GUIベースの簡単マウス操作でPythonコードを再利用し、EG上で、標準実装のタスクとOSTを活用し、連携してアナリティクス作業を完結することができます。これによって、様々異なる分析スキル(GUIユーザー、SAS言語ユーザー、OS言語ユーザー)を連携し、有効活用することが可能となります。また、この分析処理は自動化することも可能です。  次にPythonコード実行用のOSTの使用方法を紹介します。EGのバージョンは8.2を使用したものです。   2.事前設定 ・Python環境の確認 まずSAS9サーバ側にPython環境がインストールされていることを確認してください。Pythonの環境がない場合は、PythonまたAnacondaなどPythonのruntimeをインストールする必要があります。 ・SAS9サーバーの設定 SAS9のSMC(SAS Management Console)を起動し、以下の画面を開きます。 「Environment Management」>「Server Manager」> 「SASApp」>「SASApp Logical Workspace Server」>「SASApp - Workspace」を右クリックし、「Properties」をクリックし 以下の設定でXCMDの実行を許可します。 「Options」タブ >「Advanced Options」>「Launch Properties」で「Allow XCMD」をチェックし、「OK」をクリックします。 設定を有効するにはシステムのObject Spawnerのサービスを再起動する必要があります。 ・OSTパッケージの取り込み OSTパッケージをダウンロードし、展開したCustomフォルダをEG(またAMO)のインストール先(以下画面ショットのロケーション)にコピーします。そのほか、臨時ファイル保存と作業用フォルダC:/Customを作成し、準備作業が完了です。 これで、OSTが使用できる状態になります。   3.EG上の使用方法 まず EGを起動し、処理対象データを選択します。今回はSASHELPライブラリ内にある「CLASS」を選びます。データを選択した状態で、タスクリストのSAS

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SAS Japan 0
新しいSAS ViyaのPython向けパッケージ :sasctl

なぜ“sasctl”が必要なのか? オープンソースとの統合性はSAS Viyaの一つの重要な製品理念であり、そのための機能拡張を継続的に行っています。その一環として”sasctl”という新しいパッケージがリリースされました。SAS Viyaでは従来から、PythonからViyaの機能を使用するために”SWAT”パッケージを提供しており、SAS Viyaのインメモリー分析エンジン(CAS)をPythonからシームレスに活用し、データ準備やモデリングをハイパフォーマンスで実行することができるようになっていました。しかし、データ準備やモデル開発は、アナリティクス・ライフサイクル(AI&アナリティクスの実用化に不可欠なプロセス)の一部のパートにすぎません。そこで、開発されたモデルをリポジトリに登録・管理して、最終的に業務に実装するためのPython向けパッケージとして”sasctl”が生まれたのです。 sasctlの概要 sasctlで提供される機能は、大まかに、3つのカテゴリーに分けられます。 また、この3つのカテゴリーは、お互いに依存する関係を持っています。 1.セッション sasctlを使用する前に、まずSAS Viyaのサーバーに接続する必要があります。(この接続は、ViyaマイクロサービスのRESTエンドポイントに対して行われることに注意してください) SAS Viyaのサーバーへの接続は、セッションのオブジェクトを生成することにより行われます。 >>> from sasctl import Session >>> sess = Session(host, username, password) この時点で、sasctlはViya環境を呼び出して認証し、この後のすべての要求に自動的に使用される認証トークンを受け取りました。 ここからは、このセッションを使用してViyaと通信します。 2.タスク タスクは一般的に使用される機能を意味し、可能な限りユーザーフレンドリーになるように設計されています。各タスクは、機能を実現するために、内部的にViya REST APIを複数回呼び出しています。例えば、register_modelタスクではREST APIを呼び出し、下記の処理を実行しています: リポジトリの検索 プロジェクトの検索 プロジェクトの作成 モデルの作成 モデルのインポート ファイルのアップロード その目的としては、ユーザーがPythonを使って、アナリティクス・ライフサイクルで求められるタスクを実行する際に、sasctlの単一のタスクを実行するだけで済むようにすることです。 >>> from sasctl.tasks import register_model >>> register_model(model, 'My Model', project='My Project') 今後も継続的に新しいタスクを追加していきますが、現在のsasctlには下の2つのタスクを含まれています:

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SAS Global Forum 2019 論文紹介シリーズ 第3回「オペレーショナル・アナリティクス for Data Scientist」

今回は「オペレーショナル・アナリティクス for Data Scientist」をメインテーマとしてご紹介します。企業で分析業務を行うデータサイエンティストの皆様はご存知の通り、モデルは開発しただけでは意味がありません。そのモデルを業務に実装(デプロイ)してはじめて、ビジネス課題を解決し、価値を創出することができるわけです。SASが長年蓄積してきたナレッジをご覧ください。 1.Using SAS® Viya® to Implement Custom SAS® Analytics in Python: A Cybersecurity Example この論文は、SASの分析機能により支えられているプロダクションレベルのアナリティクスソリューションを開発しようとしているデータサイエンティストを対象としています。本文では、SAS ViyaとCloud Analytics Service(CAS)に基づく、CASの構築基盤とサイバーセキュリティを説明します。そして、SASアナリティクスを本番環境でPythonで実装する方法を説明します。 2.What’s New in FCMP for SAS 9.4 and SAS Viya この論文では、下記いくつかポイントをメインとして議論していきます。まず、SASが提供しているFunctionコンパイラー(FCMP)の新しい特徴を紹介し、それから主にFCMPアクションセットを中心とし、リアルタイムアナリティクススコアリングコンテナ(ASTORE)とPythonのインテグレーションについても説明します。それらの説明により、SASの新しいテクノロジーに対し、更なる理解を頂けることを期待しています。 3.Influencer Marketing Analytics using SAS® Viya® この論文はSAS Viyaを使って、マーケティングアナリティクスを行う事例を紹介します。近来、マーケティングはますますインフルエンサーが大きな役割をしめるようになってきています。それらのインフルエンサーたちはソーシャルメディアのコンテンツ作成者であり、多くのフォロワーを持ち、人々の意見に影響を与え、購入を検討する人々にも影響を与えています。インフルエンサーマーケティングは、より伝統的なマーケティングチャンネルと同じようにコストがかかるため、企業にとって最も効果的なインフルエンサーを選択することは非常に重要です。 こういった背景において、この論文では、ソーシャルメディアで本当に影響力をもつ人、そしてその影響程度はなにかについて分析することを目指しています。ケーススタディは、感情面の影響を与えることに焦点を当てています。また、多くのフォロワーを持つインフルエンサーとその色んな投稿とアクティビティを分析します。実施するには、Pythonのライブラリとコードが使用されます。次に、彼らのアクティビティとネットワークを分析して、それらの影響範囲を分析します。これらの分析には、SAS Viyaのテキストおよびネットワーク分析機能が使用されます。データ収集ステップ(Python)はクライアントとしてJupyter Notebookを使用していますが、分析ステップは主にSAS Visual Text Analytics(Model Studio)とSAS Visual Analyticsを使用して行われています。 4.Take

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SAS Global Forum 2019 論文紹介シリーズ 第2回「PythonからSAS9を活用するコーディング事例紹介」

前回に引き続き、SAS Global Forum 2019で公開された論文をご紹介します。今回は、SASユーザを含め、SAS言語とオープンソース言語の機能を共に活用することで、様々なビジネス課題に対応できるようなコーディング事例をいくつかピックアップします。 1.Deep Learning with SAS® and Python: A Comparative Study ご存知の通り、SASはディープランニングに関する専門性の高いかつ豊富な機能と製品を提供しています。この論文では、SASとPythonに対し、それぞれ違うデータタイプ(例えば:構造化と非構造化、イメージ、テキスト、シーケンシャルデータ等々)を使ったディープラーニングのモデリングを比較する論文となります。主にSAS環境でのディープランニングフレームワーク、そして、SASとPython言語のディープランニングプログラミングの違いによって、それぞれのメリットとデメリットの紹介となります。 2.Utilization of Python in clinical study by SASPy Pythonは近年最も使われているプログラミング言語になってきました。そして現在、機械学習とAI領域でもよく使われています。Pythonの一番のアドバンテージはその豊かなライブラリを通じ、多種多様な分析をインプリメントできることです。SASは臨床研究領域で最も強力な分析製品でありながら、さらにPythonを使うことによって、そのレポーティング機能、例えば、データ管理、データ可視化を拡張できます。これもSASプログラマーユーザのキャリアに対し、潜在的なメリットです。その様な背景において、SASPyはその可能性を実現します。SASPyはPythonコードの中でSASのセッションをスタートできるPythonパッケージライブラリとなります。この論文では、基本的なSASPyの使用方法とSASのデータセットを処理するヒントについて紹介しています。そして、Pythonを使って、臨床研究で使えそうなレポーティング機能について検討します。 3.Everything is better with friends: Executing SAS® code in Python scripts with SASPy SASPyはSASがPythonプログラミング用に開発したモジュールで、SASシステムに代わるインタフェースを提供しています。SASPyを通じて、SASプロシージャはPythonスクリプトと構文で実行することができ、かつ、SASデータセットとそれに相当するPythonデータフレームの間にデータを転送することも可能です。それにより、SASプログラマーはPythonの柔軟性を利用してフロー制御を行うことができ、PythonプログラマーはSAS分析をスクリプトに組み込むこともできます。この論文では、Pythonスクリプト内で通常のSASコードとSASPyの両方を使用した一般的なデータ分析タスクの例を幾つか紹介し、それぞれの重要なトレードオフを強調し、多種プログラミング言語ユーザになれることの価値を強調しています。SAS University Edition用のJupyterLabインタフェースを使用し、それらの例を再現するための説明も含まれています。それらのSASとPythonのインテグレーション例はJupyter Notebookとしてダウンロードできます。 ダウンロード:https://github.com/saspy-bffs/sgf-2019-how 4.Modeling with Deep Recurrent Architectures: A Case Study of

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SAS Global Forum 2019 論文紹介シリーズ 第1回「OSS言語から活用できるオープンなSASプラットフォーム」

例年と同様に、SAS Instituteはグローバル各国でフォーラムを開催しました。日本ではSAS Forum Japanと題して6月11日に東京の六本木で開催され、また、アメリカSAS本社はダラスでSAS Global Forum 2019を開催(4/28~5/1)し、その中では多数の論文が発表されています。本シリーズでは、これらの論文の中から、OSSとSASプラットフォーム製品のユースケース、OSSコーディング開発・運用事例、クラウドアーキテクチャの設計と運用等々の注目された内容を選別した上で、4回に分けて紹介していきます。 第1回「OSS言語から活用できるオープンなSASプラットフォーム」 近年、OSS(オープンソースソフトウェア)プログラミング言語が数多くのデータサイエンティストや企業によって利用され、分析モデルが開発されています。PythonやR、Luaなどデータサイエンティストや開発者たちに好かれたプログラミング言語はアナリティクス業界に革新をもたらしました。SASはそれらのOSSユーザと企業の要望に応じ、従来のSASユーザとOSSプログラミングユーザーたちが共同作業、かつ連携できるようなプラットフォームを提供しています。 今回は、OSSユーザがどのような方法を利用し、SASプラットフォーム上で自由自在なデータ分析を行えるのかをテーマとし、SAS Global Forumで公開した論文をご紹介します。 1.Open Visualization with SAS® Viya® and Python この論文では、オープンソース言語の一つであるPythonに関し、SAS ViyaのSWAT(Scripting Wrapper for Analytics Transfer)を通じて、メインにオープンソースのグラフィックテクノロジー、特にPythonのMatplotライブラリ、そして現在主流となっているD3の可視化フレームワークとのインテグレーション技術について紹介しています。本文で用いた例は、統計プログラミングのサンプルを使って、Jupyter NotebookからSAS Viyaの機能を呼び出し、最終的に、mpld3で作られた静的なグラフを動的グラフに変更した例となります。 2.SWAT’s it all about? SAS Viya® for Python Users SASは2016の7月にPythonライブラリSWATをリリースしました。それにより、PythonユーザはSASのCASに接続して、SAS Viyaの各種機能を使えるようになりました。SWATを利用することで、SAS言語バックグラウンドを持っていないユーザには、SAS言語ユーザと同じくCASとSAS Viyaの各種機能を使用できるようになります。この論文では、Python SWATを通じて、CASセッションへ接続し、PythonからCASへデータをロードし、さらにCASアクションで実行して分析する一連作業をデモンストレーションの形で紹介します。使用するデータは、SASほかのアプリケーション、例えばVisual Analyticsなどでも利用できる様子を紹介します。 3.Deploying Models Using SAS® and Open Source 近来、機械学習と人工知能の議論はほとんどの時間がモデル開発の議論に費やされています。しかし、モデルによって得られる洞察をどのように効率的にビジネス価値創出に適用するかに関してはほとんど議論されていません。この論文では、モデルの構築に応じ、Docker、Flask、Jenkins、Jupyter、Pythonなどのオープンソースプロジェクトとの組み合わせで、SASを使用してモデルを展開するためのDevOpsプリンシパルの使用例を紹介します。例に使われている関連アプリケーションはグローバルなユーザベースを持つ資産上のレコメンド・エンジンとなります。この使用例は、セキュリティ、待ち時間、スケーラビリティ、再現性に直面する必要があることをめぐってディスカッションします。最後に、その解決策となるソリューションとその課題となる部分を含めて説明します。 4.SAS®

Artificial Intelligence
DLPyを使用した、ディープラーニングのfunctional APIモデル構築

SAS Viyaの分析機能をPythonから利用するためのハイレベルAPIパッケージであるDLPyでは、kerasと同等の簡潔なコーディングで、複雑な画像処理やディープラーニングを実行することができます。 そして、DLPyでは、kerasと同様に、2つの手法でディープラーニングのモデルを構築することができます。 Sequential modelとfunctional API modelです。 Sequentialとは、その名の通り、レイヤーを順序通りに積み重ねて、順序通りに実行していくモデルです。 以下は、DLPyを用いて、PythonからSAS Viyaのディープラーニング機能を使用して画像分類向けsequential modelのネットワークを定義している例です。 In [10]: model1 = Sequential(sess, model_table='Simple_CNN') model1.add(InputLayer(3, 224, 224, offsets=tr_img.channel_means)) model1.add(Conv2d(8, 7)) model1.add(Pooling(2)) model1.add(Conv2d(8, 7)) model1.add(Pooling(2)) model1.add(Dense(16)) model1.add(OutputLayer(act='softmax', n=2)) In [11]: model1.print_summary() Out[11]: In [12]: model1.plot_network() Out[12]: 一方、functional APIは、sequentialでは、表現することが難しい、より複雑な構造のモデルを構築する際に利用されます。 以下は、kerasの公式サイトに記載されている文面です。 “functional APIは,複数の出力があるモデルや有向非巡回グラフ,共有レイヤーを持ったモデルなどの複雑なモデルを定義するためのインターフェースです.” そして、DLPyでは、kerasと同様にsequential modelだけでなく、functional API modelの構築も可能になっています。 以下はその一例として、複数の入力と出力を持つような画像分類のためのディープラーニングモデルのネットワーク例です。 まず、テンソルオブジェクトを返すInput()によって、2つのテンソル、グレースケール画像とカラー(RGB)画像、を定義します。 グレースケール画像は2つの畳み込み層に送り込まれます。カラー画像はそれらとは別の畳み込み層に送り込まれます。

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PythonやRで開発されたモデルの精度をビジュアルパイプラインで簡単比較

データサイエンティスト(以降、DSと表記)は、お好みのプログラミング言語を使用して、日々モデリングを行っています。昨今は、その中でもオープンソースのプログラミング言語であるPythonやRを使用されている方の割合が多くなってきているようです。その結果として、企業の分析組織やチーム内には複数の異なる言語を活用するDSが混在するケースも見受けられます。(一人で両方の言語を操る方もいます。) 「Pythonを操るAさんが作成されたモデルと、Rを操るBさんが作成されたモデル、どちらの精度が高いのかを容易かつビジュアルに比較することができたら…」  ということで、今回は、SAS ViyaのModel Studioを使用し、ビジュアルなパイプライン上での異なる言語間モデル精度比較をご紹介します。  手順は以下の通りです。 ① プロジェクトの新規作成と学習用のデータソース選択 ② パイプラインの作成と実行 ③ 実行結果(モデル精度)の確認 ① プロジェクトの新規作成と学習用のデータソース選択 「SAS Viya: ビジュアルパイプラインで予測モデル生成(基本編)」の「1.プロジェクトの新規作成と学習用のデータソース選択」を参照ください。 ② パイプラインの作成と実行 画面上部にある「パイプライン」をクリックします。 パイプラインには「データ」ノードのみが表示されています。左端の機能ノードアイコンをクリックすると、 パイプラインに追加可能な機能ノードのリストが表示されます。 まずは学習データに対する前処理として、欠損値補完を行います。 「データマイニングの前処理」内にある「補完」を「データ」ノード上にドラッグすると、 「データ」ノードの下に「補完」ノードが追加されます。 同様の手順で、「その他」内にある「オープンソースコード」を「補完」ノード上へドラッグすると、「補完」ノードの下に「オープンソースコード」ノードが追加されます。 機能ノードごとのオプション設定は、右側画面内で行います。 「言語」が「Python」であることを確認し、「開く」をクリックします。 開かれた画面内に、比較対象のPythonのコード(ランダムフォレストのモデル)をコピーします。右上の「保存」(フロッピーディスクアイコン)をクリックし、「閉じる」をクリックします。 ※ターゲット変数名や入力変数リスト名など、画面左側の変数名を使用することによって、オープンソースコードノードとその他のノード間でのデータ連携が可能となり、異なる言語のモデル間での精度比較も可能になります。各種規定変数名の詳細に関しては、オンラインマニュアルを参照してください。 「オープンソースコード」ノードの右側にある3つのドットが縦に並んでいる(スノーマン)アイコンをクリックし、「名前の変更」を選択し、 「Pythonフォレストモデル」に変更します。 このようにドラッグ操作でノードを追加する以外に、パイプライン上のメニューからノードを追加することもできます。 「補完」ノードのスノーマンアイコンをクリックし、「下に追加」>「その他」>「オープンソースコード」の順に選択すると、 「補完」ノードの下に「オープンソースコード」ノードが追加されます。 以降、同様の手順で比較対象のRのコード(ランダムフォレストのモデル)をコピーし、ノードの名前を変更します。 「オープンソースコード」ノードは、データに対する前処理として使用することもできます。デフォルトでは、「オープンソースコード」ノードは、データに対する前処理として認識されているので、これを「教師あり学習」に切り替えます。 PythonとRのモデルノードそれぞれのスノーマンアイコンをクリックし、「移動」>「教師あり学習」を選択します。 すると、「モデルの比較」ノードが追加され、PythonとRのモデルノードと接続されます。 パイプラインが完成したので、右上の「パイプラインの実行」アイコンをクリックし、実行します。 ③ 実行結果(モデル精度)の確認 処理が正常に完了したら、「モデル比較」ノードのスノーマンアイコンをクリックし、「結果」を選択します。 Rのフォレストモデルの方が精度が高い、チャンピオンモデルであると表示されました。 リフトやROC、様々な統計量で、精度を詳細に比較することもできます。 以上が、ビジュアルパイプラインでPythonとRのモデル精度を比較する手順です。 もちろん、必要に応じて、PythonやRのモデルとSASのモデルの精度を比較することもできます。 ※ビジュアルパイプラインでPythonとRのモデル精度を比較は、SAS Viya特設サイトにある動画でもご覧いただけます。 ※実際にPythonとRのモデル精度比較を試してみたい方は、Githubに公開されているアセットを活用ください。

Artificial Intelligence
SAS Viya:RNNでsin波を予測してみた

PythonからSAS Viyaの機能を利用するための基本パッケージであるSWATと、よりハイレベルなPython向けAPIパッケージであるDLPyを使用して、Jupyter NotebookからPythonでSAS Viyaのディープラーニング機能を使用した時系列予測を試してみました。  大まかな処理の流れは以下の通りです。 1.必要なパッケージ(ライブラリ)のインポート 2.Sin波データの生成 3.セッションの作成 4.RNN向け時系列データセットの作成 5.モデル構造の定義 6.モデル生成(学習) 7.予測  1.必要なパッケージ(ライブラリ)のインポート swatやdlpyなど、必要なパッケージをインポートします。 import numpy as np import pandas as pd import matplotlib.pyplot as plt import swat.cas.datamsghandlers as dmh from swat import * import dlpy from dlpy import Sequential from dlpy.layers import * from dlpy.model import Optimizer, AdamSolver, Sequence

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