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小林 泉 0
AI技術への投資価値判断~”何ができるか”ではなく”どんな価値を提供するか”で判断すべき

AI投資におけるバイアス 昨今、AIというと主に生成AI、LLM、Copilotなどの技術を指していることが多いですよね。それは、IT市場が長年そうであるように、「新奇性バイアス」(新しいものを過大評価してしまう人間の脳の特性)や、FOMO効果(取り残されることへの不安)、さらには「ハロー効果」(肩書にひきずられる心理現象)など、いわゆる認知バイアスによって、認知や期待がゆがめられている影響もあります。また、それに乗じて、もちろんビジネスにおける競争戦略としては当然なのですが、新しいテクノロジーでマーケットに参入したい企業や、関心を集めたいメディアも、こぞって流行りの単語を使うため、人間の認知バイアスをさらに増幅させる構造がそこにあるためです。 しかし、そうしたバイアスが実は事業会社が適切に行動することを阻害しているのもまだ事実です。今回は、そういったバイアスに惑わされずAIへの投資をより適切にするための一つの考え方をご紹介します。 AI技術への投資判断の評価がしづらい理由 AI技術は、冒頭で触れたようにさまざまな認知バイアスの影響を受けやすく、企業が自らの戦略を十分に整理しないまま、「導入そのもの」が目的化してしまうケースが少なくありません。もちろん、企業・組織自身が自社の課題を正しく見つめ、成長戦略の中でどのようにAIによる価値を享受していくかを計画的に検討し、推進している企業も存在します。ただし、それが多数派かというと、決してそうではないのが実情です。 AI導入が目的化してしまっている企業・組織では、次のような混乱をよく目にします。 AIの導入が、LLMやチャットシステムの導入そのものと同一視されている AI Agent、Agentic AI、Copilotといった概念の違いが曖昧なまま議論が進んでいる 技術要素と提供価値が混在したまま語られている 重要度の整理がされていないため、「とりあえず何でもPoC」という状態に陥っている プロフィット部門である業務部門が十分に巻き込まれず、コストセンターであるIT部門やDX部門、データサイエンス部門が、技術や基盤の導入目的だけで検討を進めてしまっている その結果、「結局、我々はAIでどのような価値を生み出そうとしているのか」という点について、組織内で明確なコンセンサスを得ることなく、IT部門やDX部門を中心に個別の施策やPoCだけが増えていきます。これは技術の問題ではなく、目的が定義・共有されていないことに起因するものです。 AI活用が叫ばれて久しい中で、経営層から「成果の実感がない」と感じられる理由の多くは、「どの価値の話をしているのかが整理されていない」ことにあります。 そこで本稿では、AIという一言では括れない幅広い提供価値と、それを支える関連技術を整理することで、経営層と現場、部門間の共通理解を促し、適切な投資判断と、より確実な成果創出につなげるための一助としたいと考えています。 分類の基準:AIは「技術」ではなく「提供価値」で整理すると投資判断に使える AIの話題になると、IT部門やDX部門、さらにはメディアにおいても、技術スタックやモデル、アルゴリズムの種類から議論が始まりがちです。しかし、売上向上やコスト削減の責任を担う業務部門の外側で、技術の話に終始するアプローチでは、言うまでもなくビジネス上の成果は生まれません。 IT部門やDX部門だけでなく、経営層や業務部門を巻き込み、透明性と説明責任を果たす投資活動にするためには、「AI技術」ではなく、「AI活用によってどのような価値を提供するのか」という視点でのコミュニケーションが不可欠です。 20年以上この業界に携わってきた経験から、AIの提供価値を以下の5つに大きく分類してみました。 1. 意思決定・予測・最適化・シミュレーション(Decision & Optimization) AI活用の原点とも言えるのが、この領域です。需要予測、価格最適化、与信、不正検知、在庫最適化、Next Best Action、収益・財務シミュレーションなど、すでに多くの企業で実運用されています。 ここでAIが提供しているのは、人の直感や経験だけでは扱いきれない複雑さを、数理モデルによって扱えるようにする価値です。機械学習(ML)、統計、オペレーションズリサーチ(OR)、シミュレーションといった技術は、この価値を支える基盤として長年活用されてきました。 2. 知的作業の代替・拡張(Cognitive Automation) 生成AIの登場によって、最も注目を集めているのがこのカテゴリでしょう。文書作成、要約、翻訳、契約レビュー、コード生成、レポート作成、調査業務など、これまで人が時間をかけて行ってきた知的作業を、AIが直接代替したり、大幅に高速化したりします。 価値は単なる省力化にとどまりません。業務のスピードと均質性を高め、属人性を下げる点にあります。LLMやRAGは、この提供価値を成立させる代表的な技術です。 3. 業務プロセス自動化(Process Automation) 業務プロセス自動化は、定義された業務フローを正確に、繰り返し実行することに価値があります。書類処理、OCR、チケット振り分け、RPA、承認ワークフローなど、対象は明確で、成果も測定しやすい領域です。工数削減、リードタイム短縮、ミス削減といった効果が、比較的早期に表れます。 AI活用の中では地味に見えるかもしれませんが、組織にとっては欠かせない実践領域です。 4. 創造・発想の拡張(Creative Augmentation) このカテゴリでは、AIは人の代替ではなく、思考の相棒として機能します。新規事業アイデア、デザイン案、広告コピー、企画書、プレゼンテーションなどにおいて、生成AIは発散と試行錯誤の回数を増やし、人の発想を押し広げます。 成果の定量化は容易ではありませんが、新しい価値を生み出す力という観点では、今後ますます重要になる領域です。 5. 知識活用・組織知の再利用(Knowledge Enablement) 多くの組織には、すでに膨大な知識が蓄積されています。しかし、それらが必ずしも「使える形」になっているとは限りません。社内QA、規程検索、過去案件検索、技術サポートなどにAIを活用することで、知識へのアクセスコストを下げ、再利用を促進できます。RAGは、この提供価値を支える代表的な技術です。 企業によって、5つの提供価値への投資優先順位は異なる ここで、もう一つ重要な点を補足しておきます。この5つの提供価値は、すべての企業で同じ重要度を持つわけではありません。業種、企業規模、事業フェーズによって、どこに重心が置かれるかは大きく異なります。 例えば、

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SAS Recognition Awards 2025 Community Uplift部門2位受賞/ 塩野義製薬様・武田薬品様対談記事 ~業界内におけるSASコミュニティ向上の重要性~【後編】

毎年SAS Globalで開催されるSAS Customer Recognition Awardsは、SASを活用し卓越した貢献をされたお客様を表彰する取り組みです。SAS利用へ、企業を超え大きな影響を与える活動を称える Community Uplift 部門において、塩野義製薬様・武田薬品様の取組みが評価され、2位受賞しました。 記事はこちら👇 2nd Place Winner: Shionogi & Co., Ltd - 2025 Customer Recognition Awar... - SAS Support Communities   製薬業界ではSASユーザーが中心となり、データサイエンスに関するコミュニティ構築・勉強会を積極的に開催しています。本記事では、長らくSASを利用頂き、コミュニティへの参加者側から運営側まで携わっておられるお二人へコミュニティ参加への重要性とメリットについてインタビューをいたしました。 2部構成でインタビュー内容をお届けします!前半では業界内でのコミュニティ形成や情報交換の重要性についてとお届けしました。 記事はこちら👇 https://blogs.sas.com/content/sasjapan/2025/10/01/cusotmerrecognitionawards-communityuplift2024-part1/ 後半である本Blogでは、塩野義製薬様が主催している異業種を巻き込んだデータサイエンスに関するコミュニティイベントの重要性についてお届けします。     Q:塩野義製薬様は、異業種参加型のデータサイエンスに関するコミュニティイベント“SHIONOGI DATA SCIENCE FES”を2023年から3年連続で開催されていますね。   SHIONOGI DATA SCIENCE FESは、2017年からSHIONOGIグループ内のデータリテラシー向上、部署を超えた“協創”や新しい価値を創出することを目的として社内向けに開催していました。 「データ」に関わる多様なバックグラウンドをお持ちの多くの方にご参加いただくことで、会社や産業の枠を超えた“協創”を促進する場となることを期待し、2023年より社外向けイベントとして開催するようになりました。 初めて開催した2023年は約910名、2024年は約1,530名、2025年は約1650名と、年々参加者が増えています。   Q:北西さんは医薬開発部門からDX推進本部へ異動され、企業内のデータ分析に関わる横断的な業務をご担当されていますが、それをきっかけにSHIONOGI DATA SCIENCE FESを社内外で取組み強化されようと思った背景はありますか? DX推進本部で、企業内の業務横断的なデータ分析業務をおこなうようになり、改めて「データドリブン型ビジネス」の重要性や、データ・インフラ整備、データリテラシーの向上の重要性を再認識しました。 データドリブン型ビジネスをおこなうためには、データ分析基盤上で仮説設定・検証を高速にまわし、ビジネスにおける意思決定へ反映させることが重要ですが、その実現のためにはデータ・インフラ・組織整備・スキル・リテラシー教育など数多くの課題が存在します。

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SAS Recognition Awards 2025 Community Uplift部門2位受賞/ 塩野義製薬様・武田薬品様対談記事 ~業界内におけるSASコミュニティ向上の重要性~【前編】

毎年SAS Globalで開催されるSAS Customer Recognition Awardsは、  SASを活用し卓越した貢献をされたお客様を表彰する取り組みです。  SAS利用へ、企業を超え大きな影響を与える活動を称える   Community Uplift 部門において、  塩野義製薬様・武田薬品様の取組みが評価され、2位を受賞しました。  記事はこちら👇  https://communities.sas.com/t5/2025-SAS-Customer-Recognition/2nd-Place-Winner-Shionogi-amp-Co-Ltd-2025-Customer-Recognition/ba-p/957811 製薬業界ではSASユーザーが中心となり、データサイエンスに関するコミュニティ構築・勉強会を積極的に開催しています。本記事では、長らくSASを利用頂き、コミュニティへの参加者側から運営側まで携わっておられるお二人へコミュニティ参加への重要性とメリットについてインタビューをいたしました。 2部構成でインタビュー内容をお届けします!前半では業界内でのコミュニティ形成や情報交換の重要性、後半では業界問わず、データサイエンスに関するコミュニティイベントの重要性についてお届けします。 (写真左から) 高浪洋平(Yohei Takanami):日本開発センター 生物統計室室長。医薬品開発における生物統計・統計プログラミング業務に従事。SASユーザー歴20年以上。 北西 由武(Yoshitake Kitanishi):DX推進本部 データサイエンス部部長。 データ活用戦略立案、AI技術等による社内外DX推進、データ活用人材の育成へ従事。SASユーザー歴 20年以上。   Q:まずお二人が業務でSASを使うにあたり、どのように技術習得をしてきたかを教えてください。 北西さん:学生時代にSASには少し触れたことがありましたが、本格的には入社後に業務で触れることでプログラミング技術を取得しました。SASは解析手法のプログラム実行で得られる出力結果とSAS公式マニュアルを照らし合わせながら、解釈することで、技術習熟度だけでなく、統計手法の知識も深めることが出来ました。 高浪さん:学生時代にSASを使用した経験はなく、入社後にSAS社のトレーニングや医薬品開発における統計解析・プログラミング業務の中で上司や経験者から知識を得ることでSASの技術を習得しました。   Q:主に業務活用においてSAS習熟を続けられたお二人ですが、SASに関する書籍を発刊されていますね。 (高浪さん・北西さん) SASを利用し始めた当初は、当時はSASに関する書籍が少なく、独学による習得は難しかったことを覚えています。 高浪さん:これからSASを始める方向けに、基本的なデータハンドリング方法、医薬品開発で用いる様々な統計手法と実行方法といった、より実践を意識した実務者向けの書籍を発刊しました。我々が保有する知識やナレッジを元に執筆するプロセスでは、読者に分かりやすく解説することを心掛けましたが、習熟度やナレッジを整理し、棚卸ができる貴重な機会でもありました。 北西さん:社内中心の取り組みとして海外書籍の翻訳・発刊に携わりました。医薬品開発および治験に携わる関係者に必要とされる統計手法について、SASでの解析事例とともに解説した本ですが、翻訳作業やの補遺の執筆は、自分自身がその内容を深く理解しておかないと日本語化、執筆できないこともあり、ナレッジの深化へ大いに役立ちました。   Q:お二人がSASコミュニティへ参加され始めたのはどのようなきっかけでしょうか? 北西さん:当時の上司からの勧めで、関西SASユーザー会へ参加したのが最初です。業種や企業によって扱う解析手法やプログラミング手法も異なることがあるため、新しい学びとなり、会社へ持ち帰り業務へ活かしていました。 高浪さん:私も当時の上司からの勧めで関西SASユーザー会へ参加しました。業務へ直結する学びの習得はもちろんのこと、業界内の専門家とのネットワークを構築できたことが学び続けるための刺激となりましたし、その後、自らも業界活動に参加することで、企業自体のレピュテーション向上につながることも実感しました。   Q:お二人はイベント主宰として、横の繋がりを広げつつカンファレンスや勉強会を開催されていますね。 高浪さん:はい、既存のイベントへ参加しつつ、イベント主宰にも力を入れています。 例えば、2017年にはアメリカで年次開催されているPharmaSUG USへ参加し、参加ユーザーの熱意に感銘を受け、その場で事務局と日本開催を交渉し、業界の仲間と協力して2018年に初めてPharma SUG Single Day Eventの日本開催を実現しました。PharmaSUGはボランティアによる非営利団体であり、公共性も高いことから、製薬企業やCROの専門家に加えて、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)にもご登壇頂く等、おかげさまで毎年好評を頂いております。 このように、当初は、統計手法やプログラミング手法といったテーマが中心でしたが、現在は業界を取り巻く規制、技術の変化もテーマとして扱うことが多くなり、参加者・トピックの幅も広くなり、イベント自体成長を続けています。

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