Tag: アナリティクス

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小林 泉 0
SAS社員としての誇りーミツバチ・森林・絶滅危惧種の保護や医療への貢献にAI/アナリティクスを活用

SASの一つの顔は、アナリティクスで営利目的の意思決定を支援 筆者は、SAS社員として、20年以上に渡りアナリティクスおよびAIで企業・組織を支援してきました。 金融機関における、リスク管理や債権回収の最適化 通信業における、顧客LTV最大化、ネットワーク最適化やマーケティング活動の最適化 製造業における、需要予測、在庫最適化、製造品質の向上や調達最適化 流通・小売業における、需要予測やサプライチェーン最適化 運輸業における、輸送最適化や料金最適化 ライフサイエンス・製薬企業における、業務の最適化 官公庁における、市民サービス向上のための不正検知 など、様々な業種・業務においてアナリティクスの適用によるお客様のビジネス課題の解決に携わってきました。営利目的(ここでは市民サービスの向上も含めることにします)の企業・組織におけるアナリティクスの活用目的は主に以下の3つに集約されます。 収益(売り上げ)の増大 コストの低減 リスク管理 アナリティクスは、いわゆる「データ分析」を手段とし、過去起きたことを把握して問題を定義し、次に将来を予測し、様々な選択肢の中から最適な予測に基づいて意思決定をしていくことになりますが、その過程の中で、起きてほしい事象を予測して促進したり、起きてほしくない事象を予測して防いだり、その予測のばらつきを管理したりということを行っていきます。 このような営利目的でのアナリティクスの活用はSASという会社が誕生した40年以上前から行われており、基本的な活用フレームワークは変わっていません。IT技術の進化によって、利用可能なデータの種類や大きさが、増えてきただけにすぎないと言えます。例えば、昨今のAIブームの代表格であるディープラーニングですが、ディープラーニングという処理方式の進化と、GPUという処理機械の進化によって、非構造化データをより良く構造化しているものであり、もちろんモデリング時のパラメータ推定値は何十億倍にはなっていますが、モデリングのための1データソースにすぎません。もう少しするとディープラーニングも使いやすくなり、他の手法同様、それを使いこなすあるいは手法を発展させることに時間を費やすフェーズから、(中身を気にせず)使いこなせてあたりまえの時代になるのではないでしょうか。 SASのもう一つの顔、そして、SAS社員としての誇り、Data for Goodへのアナリティクスの適用 前置きが長くなりましたが、SAS社員としてアナリティクスに携わってきた中で幸運だったのは、データの管理、統計解析、機械学習、AI技術と、それを生かすためのアプリケーション化、そのためのツール、学習方法や、ビジネス価値を創出するための方法論や無数の事例に日常的に囲まれていたことだと思います。それにより、それら手段や適用可能性そのものを学習したり模索することではなく、その先の「どんな価値創出を成すか?」「様々な問題がある中で優先順位の高い解くべき問題はなにか?」という観点に時間というリソースを費やすことができていることだと思います。そのような日常の仕事環境においては、アナリティクスの活用を営利目的だけではなく、非営利目的の社会課題の解決に役立てるというのは企業の社会的責任を果たす観点においても必然であり、Data for Goodの取り組みとしてSAS社がユニークに貢献できることであり、SAS社員として誇れるところだと考えています。 最終的に成果を左右するのは「データ」 そして、もう一つの真実に我々は常に直面します。クラウド・テクノロジー、機械学習、ディープラーニングなどの処理テクノロジーがどんなに進歩しようともアナリティクス/AIによって得られる成果を左右するのは「データ」です。どのようなデータから学習するかによって結果は決まってきます。 IoT技術で収集したセンサーデータは知りたい「モノ」の真実を表しているだろうか? 学習データに付与されたラベル情報は正確だろうか? 学習データは目的を達成するために必要な集合だろうか? そのデータは顧客の心理や従業員の心理をどこまで忠実に表しているだろうか? 特に、Data for Goodのチャレンジはまさにそのデータ収集からスタートします。ほとんどの場合、データは目的に対して収集する必要があります。そして、下記の取り組みのうち2つはまさに、我々一人一人が参加できる、市民によるデータサイエンス活動として、AI/アナリティクスの心臓部分であるデータをクラウドソーシングによって作り上げるプロジェクトです。 Data for Good: 人間社会に大きな影響を及ぼすミツバチの社会をより良くする 概要はこちらのプレスリリース「SAS、高度なアナリティクスと機械学習を通じて健康なミツバチの個体数を増大(日本語)」をご参照ください。 ミツバチは、人間の食糧に直接用いられる植物種全体の75%近くに関して受粉を行っていますが、ミツバチのコロニーの数は減少しており、人類の食糧供給の壊滅的な損失につながる可能性があります。この取り組みでは、IoT, 機械学習, AI技術, ビジュアライゼーションなどSAS のテクノロジーを活用し、ミツバチの個体数の保全/保護する様々なプロジェクトを推進しています。この取り組みは以下の3つのプロジェクトから成り立っています。 ミツバチの群れの健康を非侵襲的に監視 SASのIoT部門の研究者は、SAS Event Stream ProcessingおよびSAS Viyaソフトウェアで提供されているデジタル信号処理ツールと機械学習アルゴリズムを用いて、ミツバチの巣箱の状態をリアルタイムで非侵襲的に追跡するために、生物音響監視システムを開発しています。このシステムによって養蜂家は、コロニーの失敗につながりかねない巣箱の問題を効果的に理解し、予測できるようになります。 関連ページ:5 ways to measure

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SAS Global Forum 2019 論文紹介シリーズ 第1回「OSS言語から活用できるオープンなSASプラットフォーム」

例年と同様に、SAS Instituteはグローバル各国でフォーラムを開催しました。日本ではSAS Forum Japanと題して6月11日に東京の六本木で開催され、また、アメリカSAS本社はダラスでSAS Global Forum 2019を開催(4/28~5/1)し、その中では多数の論文が発表されています。本シリーズでは、これらの論文の中から、OSSとSASプラットフォーム製品のユースケース、OSSコーディング開発・運用事例、クラウドアーキテクチャの設計と運用等々の注目された内容を選別した上で、4回に分けて紹介していきます。 第1回「OSS言語から活用できるオープンなSASプラットフォーム」 近年、OSS(オープンソースソフトウェア)プログラミング言語が数多くのデータサイエンティストや企業によって利用され、分析モデルが開発されています。PythonやR、Luaなどデータサイエンティストや開発者たちに好かれたプログラミング言語はアナリティクス業界に革新をもたらしました。SASはそれらのOSSユーザと企業の要望に応じ、従来のSASユーザとOSSプログラミングユーザーたちが共同作業、かつ連携できるようなプラットフォームを提供しています。 今回は、OSSユーザがどのような方法を利用し、SASプラットフォーム上で自由自在なデータ分析を行えるのかをテーマとし、SAS Global Forumで公開した論文をご紹介します。 1.Open Visualization with SAS® Viya® and Python この論文では、オープンソース言語の一つであるPythonに関し、SAS ViyaのSWAT(Scripting Wrapper for Analytics Transfer)を通じて、メインにオープンソースのグラフィックテクノロジー、特にPythonのMatplotライブラリ、そして現在主流となっているD3の可視化フレームワークとのインテグレーション技術について紹介しています。本文で用いた例は、統計プログラミングのサンプルを使って、Jupyter NotebookからSAS Viyaの機能を呼び出し、最終的に、mpld3で作られた静的なグラフを動的グラフに変更した例となります。 2.SWAT’s it all about? SAS Viya® for Python Users SASは2016の7月にPythonライブラリSWATをリリースしました。それにより、PythonユーザはSASのCASに接続して、SAS Viyaの各種機能を使えるようになりました。SWATを利用することで、SAS言語バックグラウンドを持っていないユーザには、SAS言語ユーザと同じくCASとSAS Viyaの各種機能を使用できるようになります。この論文では、Python SWATを通じて、CASセッションへ接続し、PythonからCASへデータをロードし、さらにCASアクションで実行して分析する一連作業をデモンストレーションの形で紹介します。使用するデータは、SASほかのアプリケーション、例えばVisual Analyticsなどでも利用できる様子を紹介します。 3.Deploying Models Using SAS® and Open Source 近来、機械学習と人工知能の議論はほとんどの時間がモデル開発の議論に費やされています。しかし、モデルによって得られる洞察をどのように効率的にビジネス価値創出に適用するかに関してはほとんど議論されていません。この論文では、モデルの構築に応じ、Docker、Flask、Jenkins、Jupyter、Pythonなどのオープンソースプロジェクトとの組み合わせで、SASを使用してモデルを展開するためのDevOpsプリンシパルの使用例を紹介します。例に使われている関連アプリケーションはグローバルなユーザベースを持つ資産上のレコメンド・エンジンとなります。この使用例は、セキュリティ、待ち時間、スケーラビリティ、再現性に直面する必要があることをめぐってディスカッションします。最後に、その解決策となるソリューションとその課題となる部分を含めて説明します。 4.SAS®

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小林 泉 0
人工知能:ブームと現実を切り分けて認識するために

現在大きなブームとなっているAIですが、行き過ぎた期待と警戒がその現実を見誤らせ、企業における経営課題の解決において、タイムリーな価値創出を停滞させている場面も見受けられます。現実を正しく捉えるための記事を、SASの上級副社長およびCTOであるオリバー・シャーベンバーガー(Oliver Schabenberger)が書いていますので、今回はそれを日本語訳してお届けします。 === 私たちはエキサイティングな時代に生きています。私たち人間と機械、オブジェクト(物体)、モノとの関係は急速に変化しつつあります。 洞窟で暮らしていた頃から、人間は受動的な(自動的に動くわけではない)道具と自分の声に自らの意思を託してきました。今日では、マウスとキーボードは操作したとおりに動きますし、Amazon Echoなどのスマートデバイスは、照明の点灯のような単純なタスクや、より複雑なタスク(例:人間の質問にアナリティクスを用いて応答する)の実行を手助けしてくれます。 しかし、人工知能(AI)の発展により、潮目が変わる可能性があります。機械は受動的なオブジェクトから、人間の生活に自らを織り込む能動的な存在へと変貌を遂げることができるのでしょうか? 機械が人間を動かすようになるのでしょうか、それとも人間が機械を動かし続けるのでしょうか? オブジェクトが「あなたの代わりに〇〇を済ませました」と人間に報告するようになるのでしょうか、それとも、人間が今後も何をすべきかをオブジェクトに指示し続けるのでしょうか? あらゆるモノがよりスマート、よりインテリジェントになっていく中、私たち人間は、自律型のインテリジェンスが取り仕切る生活空間の「囚われ人」となってしまう恐れはないのでしょうか? そのような状況に私たちはどこまで近づいているのでしょうか? AIの現状 あなたがもし、機械が世界を征服するのではないかと夜な夜な心配しているとしたら、どうぞぐっすり眠ってください。今現在使われているテクノロジーでは、決してそうした事態は起こりません。昨今では、少しでも賢い動作や想定外の動作をすれば何でもAIと呼ぶのがトレンドのようですが、多くは実際にはAIではありません。私の電卓は、私よりも計算能力が優れていますが、AIではありません。決定木もAIではありませんし、SQLクエリの条件句もAIではありません。 しかし、AIへと向かうトレンド、すなわち「機械、デバイス、アプライアンス、自動車、ソフトウェアに更なるスマート性を組み込む」というトレンドが存在するのは事実です。 人間よりも圧倒的な正確さでタスクを実行できるアルゴリズムの開発には、驚異的な進展が見られます。少し前までコンピューターには囲碁は無理と思われていたにもかかわらず、今や機械が人間を打ち負かし、人間には敵わないレベルへと突き進んでいます。また医療分野では、医用画像から特定タイプのガンを発見するアルゴリズムの正確性が、放射線科医と同等レベルに達しており、まさに患者の人生を一変させるような成果です。 これらのアルゴリズムが超人的な能力を示すのは、与えられた仕事を高い信頼性および正確性で、不眠不休で反復実行するからです。とはいえ、人間のように思考または行動できる機械を生み出す段階からは程遠いのが現状です。 現在のAIシステムは、人間が行うタスクを「コンピューター化された賢い方法」で実行するようにトレーニングされますが、トレーニングの対象は1つのタスクのみです。囲碁をプレイできるシステムは、ソリティアやポーカーをプレイすることができず、そのスキルを習得することもありません。自律走行車を運転するソフトウェアは、家の照明を操作することができません。 これは、この種のAIが力不足ということではありません。むしろ、あらゆる用途に高い専門性を提供できるため、多くの業種、恐らく全ての業種に変革をもたらすポテンシャルを秘めていると言えます。しかし、AIで何を成し遂げることができるかに関しては、先走りは禁物です。トレーニング用データにもとづき、教師あり手法を用いてトップダウン方式で学習するシステムは、データの内容を超えて成長することができません。つまり、こうしたシステムには創造、革新、推論(論理的に思考)は不可能です。 「信頼の飛躍的拡大」を選ぶかどうかは人間次第 たとえアルゴリズムがインテリジェンスを持つ日が来るとしても、必ずしも私たちの人生をアルゴリズムに委ねる必要はありません。アルゴリズムの利用を意思決定支援システムに留める、という選択も可能です。その対極にあるのは、あらゆる意思決定を人間の代わりにアルゴリズムに行わせるという選択であり、これは「(人間の機械に対する)信頼の飛躍的拡大」の究極と言えます。 そこには、意思決定において人間の介入は一切ありません。機械の自律性を手放しで受け入れて初めて、「真のAI」を受け入れる準備が整ったことを意味すると筆者は考えます。しかし、アルゴリズムが信頼できる偏りのない意思決定を行えるようになり、それがひいては人間に最大の利益をもたらすことが実証されうるとして、自分の人生の手綱を渡し、自分は何も入力せずにアルゴリズムに意思決定を行わせることを、あなたは心地よく感じるでしょうか? 自由に判断させた場合、機械はどれほど的確に振る舞うと期待しますか? 機械がどれほど短時間で仕事を学習すれば満足でしょうか? そして、学習を重ねる中、機械はいつモラルを獲得するのでしょうか? こうした質問を不快に感じるとしても、ご安心ください。あなただけではありません。筆者は、ソフトウェア・エンジニアがプログラミングしたモラルや発展途上のアルゴリズムが学習したモラルの不完全さのせいで命を失うよりは、自分自身の愚かさのせいで命を失う方を選びます。 インテリジェンスという幻想は今現在、完全に人間の掌中にあり、当面は人間のコントロールなしでは存在しえません。 当面私たちがAIに望めるのは、つい感心してしまうほどの賢さです。その他はブームに便乗した大騒ぎに過ぎないでしょう。 将来への準備 現在のような形のAIにはインテリジェンスがあるのでしょうか? そうではないと筆者は考えます。 インテリジェンスと呼ぶためには、何らかの形の創造性、革新性、直感力、自主的な課題解決力、感受性が必要です。私たちが今現在、ディープ・ラーニングにもとづいて構築しているシステムは、こうした特性を備えることができません。AIがいつインテリジェンスを獲得するのか、その時期をここで予測するつもりはありません。数十年前には「その段階に近づいており、数十年後には機械が人間のように行動したり思考したりするようになる」と考えられていましたが、そうはなっていません。今日のテクノロジーでは、依然としてこの問題を解決できないのです。 人類が「真のAI」の時代に到達するためには、破壊的なテクノロジー・シフトを経なければなりません。人類はその解決策をまだ発見していないと考えます。ただし、その探究を続けていることは確かです。

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SAS言語派集まれ!SAS StudioからSASのAIを使ってみよう!

5月23日に開催されたSAS Forum Japan 2017では、通常のセッション枠とは別に、「スーパーデモ」と題して、各種SAS製品やソリューションのデモが紹介されました。通常セッションの休憩時間はもとより、セッション時間中でも多くの方々が「スーパーデモ」エリアに集まり、食い入るようにデモも見られていました。 その中で、私が実施したデモ内容をご紹介します。 SASのAI機能は、SAS言語のみならず、Python, R, Java, Luaなどの汎用プログラミング言語からも活用可能ですが、このデモでは、SAS Studioを使用し、SAS言語でSASのAI機能を活用したモデル作成を行いました。 詳細(スライド版)に関しては、以下をご覧ください。(SlideShareに公開済み) SAS言語派集まれ!SAS StudioからSAS Viyaを使ってみよう! from SAS Institute Japan 詳細(デモ版)に関しては、以下をご覧ください。(YouTubeに公開済み) 今なら無償でSAS Viyaを試用することができます。詳細は以下のブログを参照してください。 SAS Viyaを体感してみよう! ~SAS Viya無償試用版利用ガイド~

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SASのAI機能で異常検知してみよう!

5月23日に開催されたSAS Forum Japan 2017の「SAS Viyaディープダイブ」セッションでは、SASのAIに搭載されている教師なし学習の3つの手法(SVDD(Support Vector Data Description), ロバストPCA, Moving Window PCA)を用いた異常検知の概要が紹介されました。 手法ごとの適用分野やSAS Studioを用いて実行した結果の紹介と、異常検知を業務に適用する際に留意すべき事項も交えてご紹介しています。 詳細(スライド内容)に関しては、以下をご覧ください。(SlideShareに公開済み) SAS Viya で異常検知してみよう! from SAS Institute Japan 詳細(講演ビデオ)に関しては、以下をご覧ください。(YouTubeに公開済み) 今なら無償でSAS Viyaを試用することができます。詳細は以下のブログを参照してください。 SAS Viyaを体感してみよう! ~SAS Viya無償試用版利用ガイド~

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Pythonで操るSASの画像処理技術入門編

5月23日に開催されたSAS Forum Japan 2017の「SAS Viyaディープダイブ」セッションでは、SASのAIに搭載されている画像処理機能が入門レベルとして紹介されました。 従来からSASを活用されている方々にとっては、「SAS」と「画像処理」って、なかなか結びつかないのではないでしょうか? 「画像処理技術」に関して、SASではどのようなアプローチをとってきているのか...を、過去、現在、そして未来に分けて紹介しています。 詳細(スライド内容)に関しては、以下をご覧ください。(SlideShareに公開済み) Pythonで操るSAS Viyaの画像処理技術入門編 from SAS Institute Japan   詳細(講演ビデオ)に関しては、以下をご覧ください。(YouTubeに公開済み)

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小林 泉 0
機械学習の活用におけるベストプラクティス「アナリティクス・ライフサイクル」

反省&改善プラン中 SAS JapanのWebサイトにある「機械学習」特集ページは、サーチ・エンジンやバナー広告などから日々、多くの方々にご覧いただいています。昨年後半からは爆発的に訪問者数が増えており、機械学習への関心の高まりを感じている一方で、弊社としては実はこのページは改善が必要と考えています。なぜなら、機械学習の特徴だけが書かれていて、それをどのように利用すれば皆様のビジネス課題を解決できるか、という次のステップをご案内していないからです。これまで、アナリティクスの世界に携わってきた方にとっては、最近バズワード的に使用され始めた感のある「機械学習」というキーワードの特徴が書かれているこのページを見ることで、「なんだざっくりえば、いつも使用している予測モデルのことか」とすっきりしますが、昨今のビッグデータや機械学習ブームで機械学習について突然学ぶ必要が生じた方々にとっては、あまり役立たなかったのではないかと反省中です。 昨今の機械学習ブームは、これからデータを活用してビジネスに役立てようとしている方には実は情報が不足していると感じています。新しいテクノロジーをどのようなプロセスで活用すれば良いのかという指南が不足しています。これは、それを以前から知っていたのに周知できていなかった弊社の努力不足でもあります。 今回は、少し長くなりますが、SASとしては、企業の経営課題をアナリティクスで解決するという視点から機械学習を活用するためのビジネスプロセスについての話をします。簡単に機械学習、予測、アナリティクスを定義した上で、一番大事な活用するためのビジネスプロセスについて、全貌を一気にご紹介します。 機械学習とは 機械学習についての一般的な見解については、また別途詳しくお伝えしたいと思います。ここでは簡単に統計解析、データマイニング、機械学習の違いから、機械学習を理解していただきます。何事も対象を理解するためには、対象そのものを詳細に記述するよりは、他と比較するほうが理解しやすいためです。   統計解析 標本データ(一部のサンプリングデータ)から母集団を推定することを主目的として使用される。限られたデータから世の中を理解したりモデル化するとも言える。 データマイニング 「鉱山から金塊を見つける」という直接的の意味のように、大量データから意味のあるパターンを発見することを目的とする。データからパターンを見出すため、後述の機械学習の学習フェーズそのものと重なるところが多い。 機械学習 既知のデータ、すなわち過去のデータからパターンを見出し、それを将来を予測することを目的に使用する。その目的から、従来は「予測モデル」という言葉で表されることが多かった。 実は、これらは使用している数学的な手法やアルゴリズムはほとんど同じです。もちろん各目的に対して適不適はありますが、まずは、総じて目的が異なるだけだと理解してください。例えば、伝統的な統計解析の手法を工夫しながらビッグデータに適用し予測モデルとして活用するケースもありますし、SASではデータマイニングの結果、使用したアルゴリズムと学習の結果をそのまま、予測モデルとして使用することが可能となります。また、コンピューターの性能向上に伴って脚光をあびるようになった手法もあります。 世の中を理解するためにデータを使用するところから、一歩進んで、その理解に基づいて、次に何が起こりそうなのかを予測し、ビジネスにおいて次に何をすべきかを決定していくといった使い方に変わってきたのです。昨今、機械学習アルゴリズムは多数ありますが、市民データサイエンティスト(Gartner 2015)の方は、その細かいアルゴリズムを理解するところからスタートするのではなく、何のために使用するのかをというビジネス上の目的からスタートすることを推奨します。細かいところは歴史的な流れと共に理解しないと本質がわからないこともあり、いきなり機械学習アルゴリズムの理解からスタートする方法は、学習方法としては非効率です。 アナリティクスにおける予測とは データを活用して統計解析やデータマイニング、機械学習といった手段を用いながら、ビジネスにおいてよりよい意思決定をする、言い換えれば、よりよいアクションを実施することをアナリティクスと言います。アナリティクスはその語源をたどると、不確実性を伴う将来に対して勇気を持って踏み出すと意味があります。データに基づいて意思決定をするということは不確実性、すなわち、確率にもとづいて行動することです。予測結果はどこまでいっても確率的にしか表されませんが、「より起こりやすい」ことを見出すことが可能です。これがよりよい意思決定につながります。 「より起こりやすい」ということを、すでにアナリティクスを実践している人々は、「予測精度が高い」と表現したりします。予測精度をあげることで、売り上げ向上やコスト削減の期待効果が大きくなります。それをわかりやすく表現すると、「予測精度を上げることで売り上げが向上する」となるわけです。将来は、(預言者でないかぎり)確率的にしか予測できないので、あえて表現していませんが、「予測」の裏には確率的な要素が常に含まれています。 チャーン分析やキャンペーンの反応率の分析などでは、ある顧客が解約しそうな・反応しそうな確率を算出するので、確率という考え方が理解しやすいと思います。このタイプを英語ではPredictionと言います。将来のある時点の状態を予測するタイプです。一方で、Forecastingというタイプがあり将来の一定期間の数や量を予測するタイプのものです。そのひとつ、需要予測の値も実は確率的な予測です。需要予測の場合には、予測値そのものの絶対値が注目されがちですが、その予測値がどの程度の確率の幅におさまるかを算出し、その確率の幅すなわち、リスクに対してどのように対処するかどうかが、本当はポイントになります。製品やサービスの特性に応じて、リードタイムを小さくしたり、あるいは確率の幅に応じた安全在庫を持ち、欠品率という顧客サービスレベルのコントロールに役立てます。需要予測のポイントは、予測値の絶対値をピタッと当てることではなく、この確率の幅を定量的に管理することだと言っても過言ではありません。在庫や輸送コストと顧客満足度とのトレードオフを扱う最適化問題でもあります。 企業が利用できるリソースには限りがあります。したがって、この確率の幅が無限大では意味がありません。つまり、100%的中する「0以上」という予測結果には意味がありません。制約のあるリソースで、効果を最大化する必要があります。したがって、この確率の幅を出来るだけ狭めることが重要になります。さらには、その作業にかける時間はすなわち意思決定の時間になりますので、予測結果を出すまでの時間が長ければ意思決定が遅れることになります。 「予測」というと、日本ではまだまだ十分に理解・活用されていないと感じます。市場動向の予測や売り上げ予測といった「参考資料」のようなものとしか位置づけていない定義も多く、それでは正しく理解していないだけでなく、価値をほとんど享受できていません。アナリティクスにおいては、予測結果は単なる「参考資料」ではなく、その予測結果に基づいて直接的に意思決定を行うためのものであるということがポイントです。「次にこういうアクションをするとこういう結果が得られるだろう」という将来の見込みを確率的に定量的に算出することがアナリティクスにおける「予測」です。アナリティクスで競争優位に立っている企業では、予測モデルに基づいたアクションの方が、従来の経験と勘に基づいていたときよりも、スピード・精度ともに勝っていることを証明しています。言い換えると、人の意思決定を自動化しています。自動化というと機械やシステムのみに適用されがちですが、例えば自動発注システムも、本来は人が発注数を決めるという人の意思決定を自動化しているように、日々の人のビジネス上の意思決定を自動化するという感覚がアナリティクスでは重要です。 実際には、コールセンターで人間が画面を見て予測結果に基づいて対応している例もあれば、オンラインストアのレコメンデーションや広告配信システムの様にシステムに予測モデルが組み込まれ、すなわち業務プロセスに組み込まれて意思決定が自動化されているケースもあります。 アナリティクス・ライフサイクル(簡潔版) SASでは、40年間アナリティクスで世界中の企業を支援してきました。その中で出来上がったベストプラクティスの一つに、「アナリティクス・ライフサイクル」というものがあります。これは、企業組織が機械学習すなわち予測分析を用いてアナリティクスを実践する、すなわち、データを活用してよりよい意思決定をすることで競争優位性を身につけるために実践すべきプロセスです。SAS主催イベント「ビッグデータ活用の新しいカタチ」(2015年12月8日開催)のデモンストレーションで紹介したサイクルは以下のようなものです。   このときには、簡潔性を重視したため、4つのプロセスだけで構成されています。 データマネージメント 必要なデータを収集・統合して必要な品質・形に変換する。昨今では、このプロセスをデータ・キュレーションと称することもあるようです。ご存知のとおり、全体のプロセスのうち約80%がこのプロセスに費やされていると言われています。下記のブログもご参照ください。 ブログ:アナリティクスの効果を最大化するデータマネージメント勘所 データの探索とビジュアライゼーション データの基本性質を確認したり、パターンや関連性などを見出し洞察を得る。近年、セルフサービスBIツールによるデータ探索が流行しています。操作性ばかりが注目されがちですが、実は、主観や仮説に基づく探索作業は網羅的ではないため、真の傾向や真の問題点の発見には方法としては十分ではありません。そういった主観に依存した視点の偏りを防ぎ網羅的な探索をするためには、統計的・数学的手法やデータマイニング手法が活躍します。以下のブログでは紹介していませんが、SASの探索・ビジュアライゼーションツールに統計解析やデータマイニング手法が含まれているのは、まさにそのためです。 ブログ:グラフ理論入門:ソーシャル・ネットワークの分析例 ブログ:SAS Visual Analyticsによるパス分析 分析と予測モデル開発 データマイニングや機械学習アルゴリズムを使用して、将来を確率的に予測する「モデル」を作成する。過去のデータを使用してパターン化(学習)するところは様々な数学的アルゴリズムが使用できますが、ソフトウェアがやってくれます。昨今は進化したソフトウェアでより簡単に精度の高いモデル開発が可能となっています。 ブログ:アナリティクスの産業革命-機械学習による自動化 業務への組み込み 作成した予測モデルを使用して意思決定、すなわちアクションを実践する。例えば、顧客スコアを算出しキャンペーンを実施したり、コールセンターでの応対を変えたり、レコメンデーションに役立てたり、不正な金融取引を検出したり、設備の異常を検知するなどの、意思決定プロセスに活用します。 このプロセスを素早くまわすこと、それは意思決定のスピードに直結することを意味します。また、データを適切に準備し、全件データを使って精緻な予測モデリングをすることで、精度の高い予測モデルを作ることができ、それはすなわちよりよい意思決定を意味します。スピードが増せばその分PDCAサイクルがたくさん回ることになるので、それは結果の質の向上につながります。したがって、アナリティクスのためのIT環境をアセスメントする際には、ビジネス上の価値の視点から、まず、このサイクルが効率的に・高速にまわせるかどうかということが評価の基準になります。 アナリティクス・ライフサイクル(詳細版) 実はアナリティクス初心者には前述の簡易版は適切ではありません。重要なプロセスが暗黙的になっているからです。弊社のアナリティクス・ライフサイクル、完全バージョンは以下のようになります。   今回取り上げたい重要なポイントは、 課題定義 まず最初にすべきことはデータ分析・予測モデルの活用で解決したいビジネス上の課題定義 精度評価・モニタリング

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小林 泉 0
アナリティクスの効果を最大化するデータマネージメント勘所

変わ(る・るべき・れる)データマネージメント データ、さらにはビッグデータを使用して競争優位性を獲得しようとするにつれて、企業・組織はよりスピード感をもって、試行錯誤を繰り返す必要にせまられおり、データマネージメント戦略やアプローチについても従来とは異なる方法にシフトしつつあります。 これまでのアプローチ 従来のアプローチでは、まず、ビジネスユーザー部門が「問い」を決めた上で、IT部門が「問いへの答え」のためのインフラとデータを準備していました。例えば、「先月の地域別、製品別、チャネル別の売り上げはどうなっているか?」や、顧客へのアンケートに基づいて、「顧客は何を考えているか?」などです。このような過去や現状を把握するための「問い」は、ほとんどの企業・組織で共通している、基本的な業務プロセスを実行するために適した方法です。 この方法では、ユーザー部門が本当に欲しい答えを得るまでにはIT部門と何度もやり取りを繰り返す(Iteration)必要があります。その作業には数週間要するケースも少なくありません。ビジネスユーザーにとっては、事前に完璧な「問い」をシステム的な要件として定義することは困難であり、一方でIT部門は業務に対する理解が100%完全ではないためです。しかし、ひとたび、ITインフラやデータが用意されると、その後は、「決まりきった反復的な(Repeatable)」分析、すなわち現状を把握するための分析(これはAnalysisです)ビジネス・インテリジェンスという目的に使用されます。 アナリティクスおよびビッグデータ時代のアプローチ 新たな洞察の発見や予測モデルを作成し、よりよい意思決定やアクションを実践することを主目的とするアナリティクスにおいては、このプロセスが極端に言えば逆になります。まず、IT部門が収集したデータを蓄積する基盤を構築し、その後にビジネスユーザーがその基盤を利用して新しいアイディアや問いを探索するという順序です。この作業は、創造的な発見的プロセスであり、ビジネスユーザーは使用しているデータが特定の目的にあっているかどうかを自身で判断することができると同時に、これまで知らなかった傾向や関係性を明らかにしたり、更なる深い分析のために役立つかもしれないデータを見つけたりします。 この新しいアプローチの特徴は、ユーザー自身でデータ加工やその先の分析を繰り返し実施(Iterative)することに適しているということです。アナリティクスにおいては、仮説検証、試行錯誤、さらには失敗をいかに高速に実施するかが重要なため、この繰り返し作業(Iterative)をユーザー自身で迅速に行う必要があるのです。 RepeatableとIterationとの違い 同じ動作を繰り返す、例えば毎月同じ種類のデータに対して同じクエリーを実行しレポートを作成するようなことがRepeatableです。それに対してIterationとは、異なる動作を繰り返す事を指し、データや見方を変えながらデータを探索しつつ仮説検証を繰り返したり、予測モデル作成や機械学習アルゴリズムのための説明変数や特徴量を探索しながら作成していくことを意味しています。BIレポーティングは、 Repeatable, アナリティクスはIterativeと覚えておいてください。 Iterativeなデータ加工プロセスでは以下のように、SQLだけでは困難な処理が多く含まれます。 集約(合計や平均などだけではなく、中央値や標準偏差などを含む) 転置(下記ABTにも関連) 統計的判断(ある事象、たとえば売り上げの減少が、単なる偶然のバラツキの範囲なのかなのかそうでないか) 欠損値や異常値の検出と補完(0で補完するだけでなく、平均値や中央値など) 新しい変数(カラム、列、特徴量とも言います)の作成 重複データの検出と対応 クレンジングや表記をあわせる標準化 SQLジョイン マージ(SQLジョインでは不可能な複雑な条件でデータを結合) 数値データの変換(対数変換や標準化) 次元圧縮 よく見かける現場の状況 これら2つのアプローチの違いは、従来活用していなかった履歴データや、ビッグデータ、非構造化データと呼ばれるような装置からのログデータやテキストデータを活用しはじめようとする際に顕著になります。業務システムや既にデータウェアハウスに格納されている、主キーやカラム構造がわかりやすいデータとは異なり、このような新しいデータは、行を特定するためのID項目。がなかったり、論理的な1行が複数行にまたがっていたり、欠損値が多い、そもそもどんな値が格納されているべきかを業務ルールから特定できるわけではないなど、必ずしもRDBMSに格納しやすいデータとはいえません。このようなデータを、キー構造や値の制約などを厳格に管理することに重きを置く従来型のRDBMSに格納しようとすると、IT部門は、まずユーザー部門に対しして、「どのような種類のデータをどのように使用するのか」といった目的定義からスタートします。わかりやすくいうと、どのようなSQLを投げるかが決まらないとテーブル構造やリレーションシップなどのデータモデル設計ができないからです。しかし、「アナリティクス」においては、どのようにデータを加工するかは、分析のプロセス中に考えることですし、分析が進むにつれて加工の仕方も変わってくるため、あらかじめ用法を明確に定義しておくことはできません。データを触ってみないと加工の仕方は決まりませんし、将来的に別の活用方法になることもあります。同じデータであっても、データを縦方向に長くする方が良いのか、横方向に長くのが良いかは、そのときどきのデータの見方によって変わります。従来のデータマネージメントのアプローチでは、この瞬間に「卵とニワトリ」の問題が発生し、アナリティクスの取り組みの大幅なスピードダウンを招くことになります。 なぜ従来型のアプローチになるのか? IT部門がこのような従来型のデータマネージメント・アプローチを取ろうとするのには、理由があります。RDBMSを利用する場合、さらにはHadoopを利用する場合には特に、ビジネスユーザーが生データを加工することはIT技術的・スキル的に困難だと考えており、なんらかの「おぜんだて」をしてユーザーに使いやすいソフトウェア環境とともに「公開」しようとする意識があるためです。実際にそのとおりであり、高度な分析をするためには、さすがにSQL程度は使えるor考え方がわかる必要はありますが、HadoopのMapReduceはハードルが高すぎます。しかし、アナリティクスにおいてSQLは道具として不十分であり、必要なデータ加工をするためにはMapReduceやその他のデータ加工言語を駆使して、場合によっては分散コンピューティングを意識しながら使いこなさないと実現できないデータ加工要件が存在します。この部分のスキルを獲得したり人材を確保するのはコスト高であるだけでなく、ビジネス・スピードを損ないます。   先行してビッグデータアナリティクスで競争優位性を築いている企業・組織はここの事情が少し異なります。彼らにとってアナリティクスの活用はビジネスモデルの根幹であるため、スキル獲得(教育、学習、採用)はコストがかかってもMUSTであると考えています。ただ、それでも、分析組織として拡大・成熟してきたチームの管理者は、昨今のデータ分析人材難もあいまって、自分の抱えるチームの生産性に課題を感じ始めています。 最新のテクノロジーがアプローチ方法の変革を可能にします 実は、このようなIT部門の懸念はすでに過去のものとなっています。テクノロジーは進化しソフトウェアは成長しています。いまや、データサイエンティストのような「分析もITもこなすスーパーマン」ではない「ビジネスユーザー出身の分析者」(ガートナーはこれを市民データサイエンティストと呼んでいます)であっても、Hadoopの技術的なスキルなくとも、グラフィカルなユーザーインターフェースや分析者が通常分析に使用する言語で、Hadoop上のデータを自由自在に加工できる手段が存在します。つまり、ビッグデータ時代においては、データは基本的な欠損値の補完などのクレンジング処理だけを施した生データを置いておくだけで、データ分析者が、高度なITスキルを持たなくともハイパフォーマンスに分析処理を実行することができるのです。   アナリティクス担当者(誤解しないでください。レポーティングしたい分析者とは異なります)が考えていることは、 「データの形式や品質はさておき、とにかくデータにアクセスできるようにして欲しい。加工は自分たちでできるから、とにかくスピード優先で」   となります。このような要望にこたえるためには、従来型のテクノロジーを使用したデータウェアハウスの改修という方法では困難です。様々な形式のデータを、データモデル設計をすることなく、適切なコストで、まずは蓄積するということが必要になり、そこは今の時代においてはHadoopが最適です。また場合によって、既存のシステムとの連携においては、フェデレーション技術のように仮想的に集めたかのように見せる必要があるケースもあります。このような環境では、従来のデータウェアハウスのように整ったデータが準備されているわけではなく、使用する際に整えることになるため、分析者がデータ品質を目的に応じて整える必要があり、Hadoop上でデータプロファイリングやクレンジングを自身で実施します。さらには、あらかじめ直近使用する予定のないデータをも捨てずに蓄積しておくデータレイクという戦略をとる企業・組織も出てきました。 最初のゴールはABT作成である IT部門が、このアナリティクスにおけるデータ加工の最初のゴールを理解すると、企業・組織におけるアナリティクスの取り組みが飛躍的に加速し、IT部門のビジネスへの貢献の仕方も理にかなったものになり、IT投資の目的や方向性を設定しやすくなります。 アナリティクスが欲しているのは、BIクエリーに適している正規化データモデルやスタースキーマ・データモデルではありませんし、また「目的特化型のデータ・マートが欲しい」というわけでもありません。まず最初の目的は、ABTすなわち、Analytical Base Tableを整えることです。ABTとは、15年以上前からある考え方で、アナリティクスにおいてデータの分布の確認や傾向の探索、予測モデルの作成のための基本テーブルのようなものです。 顧客の購買行動を予測する際を例に考えてみましょう。当時はそのまま「1顧客1レコード」と呼んでいましたが、最近ではSASジャパンでは「横持ちテーブル」ということが普通です。対して、履歴データを縦に持ったものを「縦持ち」と言います。簡単に言うと、顧客に関する全てのデータ、顧客マスターにある属性情報に始まり、契約情報、購買履歴、コミュニケーション履歴、キャンペーンへの反応履歴、店舗やWeb上での行動履歴、など、最近の言葉で言えば、顧客の360度ビューをデータとして表現し、1人の顧客につき1行使用し、これら情報を列方向に持たせたデータです。ご想像の通り、このテーブルは時には列数が数百、数千、数万になったりすることもあります。ただ単に履歴を横に持つから横に長くなるというよりは、顧客を特徴づける説明変数や特徴量を作成していくことでも、その数が増えていきます。単にAという商品を買ったというだけでなく、何曜日の何時にどの店舗に来店したのか、来店頻度は? 金額は? 金額の合計は? など、その顧客がどのような行動、嗜好をもつ顧客なのかを特徴づけるデータを作成します。どのような列、説明変数や特徴量を作成するのが良いかは、今回の趣旨ではないので省略しますが、これまでの業務上の勘と経験、ノウハウ、そして一番重要なのは、企業が顧客とどのような関係を気づきたいかという顧客戦略、これらがあれば、おのずと決まってきます。また、ある程度世の中にベストプラクスもあるので、書籍や弊社コンサルタントに期待することもできます。   なんだ、全てのデータをくっつけたデータマートを作ってあげればいいのではないかと思うかもしれませんが、ABTを作成する作業は前述の通り分析作業をしながらのIterativeなプロセスのため、分析者自身が作っていく必要があります。アナリティクスの活用成熟度の高い分析チームになると、データの一貫性を理由として、複数のテーマでこのABTの一部の列を共有するようになります。この段階になって初めて、ある程度仕様が固定化されたデータマートのようになりますが、ビジネスの変化に応じて柔軟・迅速に変更していく必要があるという性質は変わりません。  IT部門の新たな役割:データスチュワード このように、アナリティクスのためのデータマネージメントプロセスを実践するためには、アナリティクスという具体的なビジネス価値を創出するための要求とスピードに対して、迅速に対応する必要があります。その主たる役割は、従来型のシステム開発データベース構築やデータモデルの設計ではなく、「ユーザーの使いたいデータはどこにあるのか?」、「社外データはどのように調達できるかどうか?」、「他部門ではどのようにそのデータを活用しているのか?」といった疑問に答える役割で、一般的には、「データスチュワード」として定義されている役割です。データスチュワードという役割は、約10年前にその必要性が叫ばれたBIをサポートするBICC(ビジネス・インテリジェンス・コンピテンシー・センター)でも定義されていましたが、昨今、アナリティクスの広まりによって、その役割の重要性が再認識され始めています。部門横断的に業務とアナリティクスおよびITに対する一定の理解とスキルを有しつつ、主たる役割はアナリティクスとそれに必要なデータやスキルを効果的・効率的にマッチングすることです。最近では、必要な全てのデータやスキルを組織内で準備することが現実的ではなくなってきており、その解決策の一つである、「オープンイノベーション」の事務局的な役割を担っているケースもあります。

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小林 泉 0
アナリティクスの産業革命-機械学習による自動化

15年前 2000年、当時すでに(今では機械学習に分類されるいくつかのアルゴリズムを搭載した)予測モデリングツールSAS® Enterprise Minerはこの世に存在していました。また、予測モデリングにおけるSASの方法論であるSEMMAプロセスも同時に存在していました。SEMMAプロセスとはSASがそれまでに培ったベストプラクティスであり、Sample(当時は1%サンプリングで十分だと立証する論文がいくつもありました)、Explore(探索、分布の確認)、Modify(補完、置き換え、変換、連続量のカテゴリカル化など、予測モデルの精度を上げるための工夫。昨今Deep Learningでは逆にこれらをせずにありのままがいいという考え方もあります)、Model(決定木などのモデル手法の適用)、Assess(複数の予測モデルから予測パフォーマンスの良いものを選択)であり、これらを順に実施することで誰でもそれなりに精度の高い予測モデルが作れました。この方法論と方法論にのっとったEnterprise Minerのおかげで、初めての分析プロジェクトにおいて何の迷いもなく顧客の解約を予測する予測モデルを作成でき、一瞬のうちに自分が「できる分析者」になったかのように感じたのを覚えています。 学生時代、実験結果の分析にSASをプログラミングで使用していた筆者にとっては、アイコンを並べて線を繋ぐだけでよいこのツールが魔法のように感じていました。しかし同時に「アイコンの並べ方、設定、当てはまりのいい手法にはパターンがあるなあ」と感じていましたし、加えて「マウスのドラッグ&ドロップという操作がちょっと面倒」だとも感じていました。 その頃、あるお客様は、サンプリングではなく全件分析で得られる価値に重きを置き、数日にわたる予測モデリング処理を実行していました。当時の世界で最大級のUNIXを使用したチャレンジは、もちろん技術的な制約により処理を完結することそのもが一つの課題でもありました。まさに「ビッグデータ」を筆者が最初に体験した場でした。 2015年 15年前、少ないコンピューターリソースしか持たない我々は、いかに顧客をあまり多くない、説明しやすいグループに分けるかを考えていました。『顧客の顔の見える化』と当時の多くのプロジェクトでは呼んでいました。しかし、今日では消費者の嗜好が多様化し、サービスや商品も多様化かつ大量化し、サービスや商品の寿命が短くなり、販売チャネルも多様化しました。予測モデルを使用して、単に顧客を理解するだけではなく、収益を最大化するためには、そのような多様性を失わない大量のセグメントごとに予測モデルを作る必要がでてきたのです。 このような分析対象の数の増加や粒度の増加、さらには分析対象データ量の増大は、近年、組織の分析チームの責任者にとっては、「予測モデル作成業務の生産性の向上」というミッションとして、大きな課題になってきたのです。   従来、予測モデルの作成は、分析サービスを提供する企業などだけが実施する、一部の人の道具でした。しかし時代は変わりビッグデータブームにも後押しされ、アナリティクスを活用する/したい組織・企業は増加の一途をたどっています。しかし、高度な数学的考え方に基づく予測モデリング手法を高等教育で学んで社会に出る人材はそれほど増加していません。そこに、「アナリティクス人材」の不足問題が生じています。 2015年、ガートナー社は「市民データサイエンティスト」という言葉を新たに定義しました。これまで高度な分析に縁遠かった、統計学や数学の専門知識を持たない業務部門の担当者が必要に迫られて予測モデリングをするようになってきたという状況をうまく表現していると思います。   さらに、この15年で、情報技術の進化と共に、より計算が複雑な手法、すなわち、昨今では機械学習と呼ばれるような高度なアルゴリズム、複数のモデルを組み合わせるアンサンブル手法、など、以前は、コンピューターの処理能力の制約で利用できなかった洗練された大きな計算能力を要する手法が登場してきました。それぞれの手法には特徴や向き不向きがあり、データの性質や予測したい事象の性質に適した手法を使用することで、より良い意思決定が可能となります。SASもこの間、Base SASエンジンから、In-Databaseへ、そしてSAS In-Memory Analyticsへとアルゴリズムの実行環境をシフトしてきています。   この15年間で予測モデル作成プロセスそのものの考え方は変わっていませんが、それを取り巻く環境や期待が大きく変化したことにより、予測分析に対する要件も変化してきています。近年、アナリティクスを武器とする企業が求めている大きな3つのポイントは以下の通りです: 扱いやすさ: 高度な分析・ITスキルを持たないビジネスユーザーでも扱えること スピード: 大量データ、多数のセグメントに対してスケーラブルであること 正確性: 収益を左右するモデルのパフォーマンスが良いこと(精度が高いこと)  SAS® Factory Minerリリース SASはこのような要望に応える形で、このたびSAS® Factory Minerという新製品をリリースしました。 ボタンクリック一つで自動的に、 最新の機械学習アルゴリズムを使用して、 これまでに培ったベストプラクティスに基づいた、 最良の予測モデルを作成することが可能となります。   従来、GUIとはいえ、人手でひとつひとつ時間をかけて実施していた予測モデル作成業務の時代から、全自動の-すなわち、モデリングプロセスにおける試行錯誤と手動プロセスを不要とし、データの特性に応じた最適なデータ変換手法と最適な機械学習アルゴリズムを自動で選択肢し、一つの操作でセグメントごとの予測モデルを作成できる-時代がやってきました。 まさに、予測モデリングの世界における産業革命です。      SAS® Factory Minerの紹介ビデオ   60秒で語るSAS Factory Miner  

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小林 泉 0
SAS Global Forum 2015 - ユーティリティ業界のアナリティクス事例多数

SAS Global Forum では、毎年SASの全てのキーマンが集結します。もちろん2015も例外ではありませんでした。2014年にスマートメーター活用セミナーの講師として来日もした、グローバルセールス&開発マネージメント ビジネスディレクターのTim Fairchildおよび、エネルギーソリューション担当プロダクトマーケティングマネージャーのAlyssa Farrellと短い朝食ミーティングで意見交換をしてきました。日本では電力小売り自由化もありアナリティクスの活用が進んでいますが、世界的に見てもエネルギー業界にアナリティクスの大きな潮流がやってきています。 それを表すかのように、SAS Global Forum 2015において非常に多くのユーティリティ業界に関するプレゼンテーションがありました。それをご紹介します。 生存時間分析を使用した変圧器の寿命予測とSAS Enterprise Minerを使用した過負荷状態で変圧器を使用している際のリスクモデリング(Predicting transformer lifetime using survival analysis and modeling risk associated with overloaded transformers Using SAS® Enterprise MinerTM 12.1) 「いつ変圧器が故障するのか?」 これが米国のユーティリティ企業が毎日頭を悩ませている問題である。ユーティリティ企業のインフラで最も重要なものの一つが変圧器である。コストを削減し計画的にメンテナンスし、故障による損失を低減するためには、この変圧器の寿命を把握することが重要である。そしてもう一つ重要なことは、過負荷による突発的なパフォーマンスダウンを避けるために高リスクな変圧器を事前に特定しメンテナンスすることである。この論文の目的は、SASを使用して変圧器の寿命を予測し、それらの故障に繋がる様々な要因を特定し、メンテナンスを効率的に行うために変圧器を、負荷状態に基づいて、高リスク、中リスクそして小リスクといったカテゴリに分類するモデルを作成することである。この研究で使用したデータは、米国のユーティリティ企業のものであり、2006年から2013年までのデータである。このデータに対して生存時間分析を行った。Cox回帰分析(比例ハザードモデル)を使用して、変圧器の故障の要因を特定した。また負荷に応じたリスクカテゴリを作成するために、いくつかのリスクベースモデルを使用した。(続きはこちら) 顧客クラスタリングにおけるイノベーティブな方法(An Innovative Method of Customer Clustering) この論文は、SASを使用して顧客セグメントを作成する新しい方法について紹介する。著者はある巨大なユーティリティ企業が提供している9つのプログラムに登録している顧客を調査した。これらにプログラムとは、請求の平準化、支払方法、再生可能エネルギー、効率化、機器の保護、使用量レポートなどである。640,788の家庭のうち、374,441のデータが利用可能であった。これら約半数(49.8%)の分析対象顧客はいくつかのタイプのプログラムに属しており、顧客の特徴を通してこれらプログラムの間の共通性を見出すためには、多くの場合、クラスター分析と相関マトリックスが利用される。しかし、所属しているか否かという二値という性質により、これらの手法の価値はかなり限定的になる。それだけでなく、各プログラムは相互に排他的であることもその一因となる。これらの制限を乗り越えるために、各顧客がどのプログラムに属するかの予測スコアを算出するために、PROC LOGISTICを使用した。(続きはこちら) ブラジルの電力部門における電力損失の査察のためのターゲット選定の改善のためのモデリング-CEMIGの事例(Modeling to improve the customer unit target selection for inspections of