社会課題の解決に向けて一緒に考えてみよう~GatherIQの魅力~(第三回)

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前回の記事ではData for GoodのためにSASが提供するアプリ GatherIQをご紹介し、そのトピックとして「男女平等」「健康」について取り上げました。第三回となる今回は、「生命の源である水」と「衛生」の2つのテーマについてGatherIQの提供するデータを基に取り上げてみたいと思います。

“生命の源である海”

多くの人もご存知かと思いますが、海は地球上の大部分を覆っており、その占有率は70%を超え、これにより地球上の水分の97%は海上に存在しています。また、海には現在20万種の生物が生息しており、その種類は100万種を超えるとさえ言われています。まさに海は生命の源といえるでしょう。

それだけでなく、海は温暖化にも関与しており、大気中の30%の二酸化炭素は海水に吸収されることで緩衝液としての役割も果たしていると述べられています。このように、海は地球にとって非常に重要な要素であることがわかります。

汚染

温暖化を緩和している一方で、海に溶けている二酸化炭素の量は増加します。これにより海水のpHが上昇し、これがカルシウムイオンと炭酸イオンが結合することを阻害します。カルシウムイオンと炭酸イオンは結合すると炭酸カルシウムになります。貝や魚の体の主成分である炭酸カルシウムの減少は、彼らの身体構造の形成を阻害し、結果的に魚や貝は減少の一途を辿ります。また、私たち一般人が捨てたゴミによる汚染被害も甚大です.一部のゴミは、私たちがゴミ箱にゴミを捨てる際に零れ落ちた物であり、これらの捨て損ねられたゴミ達は排水溝へと落ち、水に乗って海へと流れつきます。

"Ocean Trash is a Problem You Can Solve" Ocean Conservancy

記事によると、海の40%が深刻な汚染状況にあります。

マイクロプラスチック

マイクロプラスチックもまた、海の汚染の大きな要因となっていることで近年メディアで度々取り上げられていますが、その恐ろしさについてはご存知でしょうか。マイクロプラスチックはプラスチック製品の原料となる小さなプラスチックが工場の排水や輸出船からの漏出によって海に流れたものを主とし、その大きさは目で見える小さな大きさの物から、顕微鏡でしか見えない大きさの物まで様々です。また、人の捨てたゴミは潮流で合流し、衝突しあい、紫外線や海水にさらされて風化し、粉々になります。これらもマイクロプラスチックとなり、海を漂うのです。マイクロプラスチックはその安定性から重宝されていましたが、皮肉なことに、その能力故に、彼らは海の中を非常に長い期間漂い続けることができます。カラフルで小さなマイクロプラスチックは魚卵などと間違われ、魚に食べられて消化されることもなく魚の胃の中に残留します。マイクロプラスチックの恐ろしい点は、これを摂取した魚が一切食事を取っていないにも関わらず、胃の中に残るマイクロプラスチックによって満腹感を得て飢餓状態となってしまい、最終的に餓死してしまうという点です。

"The Nurdles' Quest for Ocean Dominance" TED Ed

動画では、かわいい見た目のマイクロプラスチック達による地球侵略計画というイメージでこの問題を説明している。

人間への影響

では、マイクロプラスチックと海水の汚染や酸性化は人間の生活にどのような影響を持つのでしょうか。まず、酸性化による牡蠣、あさり、サンゴ、ウニなどの魚介類 の減少により、価格は上昇し、これらを食べることが困難になります。彼らを主食とする人は世界に1億人いるとされており、その人達の主要なタンパク質源が消え、健康被害が出ると考えられます。また。マイクロプラスチックに関して、これを食べた魚が餓死するだけでなく、マイクロプラスチックを食べた魚をさらに上位の捕食者が食べることで食物連鎖を辿り、捕食者の胃にマイクロプラスチックが残り、捕食者共々餓死していくという負のループが完成していきます。これにより海の生態系は壊滅状態になり、魚類は減少し、魚類を食べられなくなる可能性が高くなります。

"Ocean Acidification Explained in 2 Minutes" Grist

私たちができること

マイクロプラスチックに関して、私たちも改善に向けて協力することができると私は考えています。マイクロプラスチックは安定性が高いですが、永久に海に留まることはできません。GatherIQに挙げられた動画には、マイクロプラスチックを減らしていくために、まずプラスチックの使用を避けていくことから始めて行くべきだと述べられています。リサイクルを行い、プラスチックをガラスや紙に代替して少しずつプラスチックの使用を減らすことができれば、将来的に海水中を漂うマイクロプラスチックは消えていくことが示唆されています。日常で一時的に使用するプラスチックは、予めカバンに持ち運ぶことで使用せずとも良い物が多いということにお気付きでしょうか。ここでいう一時的に使用するプラスチックとは、コンビニで商品を入れるための袋や、カフェでコーヒーを入れてもらう際のコップやストロー、食品を保存する時に使用するラップ、などを指します。上記の物でいえば、マイバッグの持参で私たちが普段使用しているコンビニの袋が不要になり、カフェでコーヒーを飲む時も、ストロー付きのタンブラーを持参していればプラスチックの容器は不要になります。また、ミツバチの蜜蝋でコーティングされたエコラップは、繰り返し洗って使用できるラップであり、これを使用すればラップはもう必要ありません。このように、少しずつ、小さなことから私たちにできる行動は確かに存在します。

しかし、現状を知らなければ具体的に何が必要で何をしなければならないかもわかりません。GatherIQに集められたデータ達は、そのような「現状」を理解する手助けが少しでも出来たら、という思いがもととなり提供されています。

“衛生”

上記で記載した地球上の水分の内、海水ではない残りの3%の水分は飲み水として利用できる安全な水です。私たちが普段生活の中で使用する水(飲料水以外の、トイレの水や蛇口から出る水)は、この3%の水から使用されています。

途上国と先進国、各々の課題

さて、現在でも清潔で安定な水を使用できない人は多く存在します。世界中で、8.4億人以上の人が安全な飲料水を獲得できておらず、これは計算すると、総人口の内、9人に1人が安全な水を得られていないことになります。

"The Human Right to Clean Water" WaterAid

安全な水を確保できずに不衛生な水を摂取すると重い疾患に罹患する可能性が高くなります。不衛生な水の摂取により引き起こされる病気では5秒に2人が死亡しており、子供だけに限れば、2分に1人の速さで亡くなっていると言われています。安全な水の確保さえできれば下痢などの病気により死亡する人の数を3分の1にまで減らせる、とGatherIQのデータでは述べられています。不衛生な水を摂取してしまう理由には、貧困のために安全な水を買えず河川の水を飲んでいるというケースもありますが、ある程度発展した国でも、不衛生な水を摂取してしまうケースは存在します。その原因として、排水の内の80%が適切な経路で浄水されることなく生活用水に還元されていることなどが挙げられます。

上記の問題の多くは発展途上国で発生していますが、先進国では別の衛生に関する問題が起こっています。

USAでは、一日当たり約1.2兆Lの水を取水しており、その内の9500憶Lは発電や農業における灌漑に使用されています。

1.2兆Lの内、390憶Lの水は家庭や企業へ供給されていますが、ここでは、新たにインフラの老朽化による問題が発生しています。水を運ぶパイプなどの老朽化が激しく、このままでは細菌などにより水が汚染されてしまうため、各地ではこのインフラに関する長期的な見通しの制定を急いでいるようです。個人や各業界が水の節約を心がけ、USAは20年前に比べて取水量を9%削減することができましたが、インフラの整備に膨大な予算が必要なために、水道料金は上がり続けています。このままではUSAで衛生的な水を得られなくなる人も増えてくるだろう、とGatherIQの記事では述べられています。USAの「清潔な水の獲得可能な国民の割合」では、99.2%と、既に0.8%の人が安全な水を確保できなくなっている実態が見られます。

こちらから、さらにその他の世界各国の安全な水の保有量などのデータをインタラクティブに見ることができます。

日本の水事情

日本の「清潔な水の獲得可能な国民の割合」は100%であり、非常に安全な水に恵まれた国であると思われます。しかし、日本でも、生活の中で水を意識せずに大量に消費していけば、水不足を招く恐れや、水道料金の高騰を招く可能性があるでしょう。水をできるだけ浪費しないように暮らすことを意識しておくべきかもしれません。安全な水は有限な資源なのですから。

以上が第三回目のGatherIQの御紹介でした。GatherIQについて更に知りたいという方はこちらからアクセスください。第一回のブログについてはこちら(第一回のURL)からアクセスください。

また、SASのWebページブログではData for Goodに関する考察や情報も公開していますので、併せて御覧ください。

SAS JapanではStudent Data for Good communityを開催し、Data for Goodの達成を目指す学生の参加を募集しています。

興味をお持ちでしたらJPNStudentD4G@sas.comまでご連絡ください。

 

 

 

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東京理科大学 理工学部 応用生物科学科

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